我が家の地球防衛艦隊

宇宙戦艦ヤマト黎明篇 第1章/第2章の設定考証チームに参加しました(2025年10月gooブログから引っ越し)

このブログ『我が家の地球防衛艦隊』について。

(注:本記事は本ブログの表紙であり、次以降の記事が最新記事です)


本ブログでは、主に『宇宙戦艦ヤマト』に登場する地球防衛艦隊艦艇の設定を妄想しています。
対象はオリジナル版及びPS/PS2ゲーム版のヤマトであり、『宇宙戦艦ヤマト2199』『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』等のリメイク版はどちらかと言えば例外的な扱いとなります(最近ではそちらの方がメインコンテンツ化してきていますがw)。
尚、本ブログに記された各種設定の多くは、公式設定ではありませんので、閲覧にあたっては御注意願います。
現在までに書き溜めた設定は以下の通りです。

 〇ヤマト型(級)宇宙戦艦 前編後編
 〇アンドロメダ級戦略指揮戦艦 前編後編
 〇ハント型フリゲート/ハント級護衛艦(さらば/2護衛艦) 前編後編
 〇オマハ級哨戒巡洋艦(さらば/2パトロール艦) 前編後編
 〇アマギ級宇宙空母/グローリアス級宇宙空母 前編中編後編1後編2
 〇アリゾナ級護衛戦艦
 〇プリンス・オブ・ウェールズ級護衛戦艦
 〇ライオン級護衛戦艦(改プリンス・オブ・ウェールズ級護衛戦艦)
 〇アキヅキ級宇宙駆逐艦(完結編駆逐艦) 前編中編後編
 〇ゼリウド級多層式航宙母艦(ガミラス三段空母)

【番外編】
 〇地球防衛艦隊2199(“ヤマト以前”の地球防衛艦隊の戦い)
 〇続・地球防衛艦隊2199 前編後編
  (“ヤマト帰還まで”の地球防衛艦隊の戦い)
 〇“我が家”世界における各艦艇の戦闘能力指数
 〇“我が家”世界における大型艦の系譜
 〇護衛戦艦小論(ヤマトⅢの護衛戦艦って?)
 〇地球防衛軍の航空機と空母機動部隊
 〇一三月動乱(ボラー連邦の終焉と新たな胎動)
  act.01:『ボラー連邦共和国末期の概況』 , act.02:『危急』 , act.03:『敗残艦隊』(妄想中)

宇宙戦艦ヤマト2199/2202/2205/3199編】
 〇第二次火星沖海戦(FGT2199さんとの共同作品。開戦~第二次火星沖までをMMD動画と文章で描きます)
 〇『宇宙戦艦ヤマト2199』世界における“さらば/2 主力戦艦” 前編後編
 〇ゼルグート級/ドメラーズⅢ世の設定を妄想してみる。
 〇ゼルグートの系譜(ゼルグート級航宙戦闘艦 その2)
 〇アンドロメダ型宇宙戦艦(宇宙戦艦ヤマト2199版) 前編後編
 〇金剛改型宇宙戦艦(2203年改修型)
 〇ランダルミーデ級とAAAアドバンスドステージ
 〇地球・ガミラス安全保障条約(地ガ同盟)
 いずれの設定妄想も公式作品発表前に書いた二次創作ですので、公式設定とは一切関連はありません(取扱いに御注意下さい)。

 当ブログでは艦艇設定妄想以外にも、オリジナル・リメイクを含む全宇宙戦艦ヤマトシリーズを全力応援中です。

【注意とお願い】
2025年10月にgooブログから引っ越しました。一部を除き記事内のブログ内リンクは引っ越し前のままのため、リンク切れが多数あります。
もしリンク先にご興味がある場合は、お手数ですがサイドバーの「検索」ツールを使って見つけてください。

当ブログに掲載された文章・画像の無断流用は原則お断りしています。

宇宙戦艦ヤマトⅢ 太陽沖海戦 序章『Battle Of Berth』

【はじめに】

本作は『宇宙戦艦ヤマトⅢ』及びプレイステーション(PS)ゲーム版『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの世界観をベースとした二次創作作品です。艦級名などの設定の一部はリメイク版も使用しています。

また、本作はFGT2199さんとの共同制作作品です。但し、FGTさんが制作された動画とは創作媒体の違いから、一部描写が異なる部分があります。

 

【主要登場人物】

〇ガルマン・ガミラス帝国軍

ドムト・ヴァイゼン中将

第二四重空間機甲師団/師団長

乗艦:ハイゼラード級航宙戦艦『ヴァイヘルム』

 

ガーラルド・ケッテル大佐

第六四七宙雷戦隊/戦隊司令

乗艦:ケルカピア級航宙高速巡洋艦『ケーニキルス』

 

サムザー・フルシュテット大佐

乗艦:アドラテス級航宙戦闘母艦『ファルバーン』艦長

 

○ボラー連邦軍

アウロ・ユールフ大将

本国艦隊司令長官

乗艦:改ベムルスカ型重指揮戦艦『ベムルスカ』

 

グラニト・クリヴァ少将

本国艦隊参謀長

乗艦:改ベムルスカ型重指揮戦艦『ベムルスカ』

 


【動画】


www.youtube.com

 【本編】

 無限に広がる大宇宙。

 その一角、天の川銀河オリオン腕の辺境恒星系——その地に生を受けた人型知的生命体が『太陽系(ソル・システム)』と呼ぶ——から程遠からぬ宙域を今、一群の艦艇が整然と航行している。暗青色のカラーリングで統一されたその艦艇群が所属するのは、天の川銀河の半分近い領域を有する巨大星間国家『ボラー連邦』だ。

 50隻余で構成される球形陣の中心には、他艦よりも優に二回りは巨大な深紅のシルエットがある。

 ボラー連邦本国艦隊旗艦「ベムルスカ」——全長500メートルを遥かに超える巨艦である。

 精鋭の本国艦隊と首都星防衛用機動要塞を押し立てて太陽系に乗り込み、短期間でこれを制圧。地球の同盟者であるガルマン・ガミラス帝国のデスラー総統を誘出し、一度の決戦で亡き者とする——それが、ボラー連邦首相ベムラーゼの作戦計画であった。

 しかし、狙い通りにデスラー総統が地球に来援するかは誰にも分からなかった。むしろ、いくら同盟国とはいえ、所詮は辺境の一星系に過ぎない地球のために、今や天の川銀河の1/3以上を手中にした覇権的超大国のリーダーが来援に駆けつけるなど純軍事的・国家戦略的にはあり得ない——そう首相の取り巻きたちは主張した。しかし、ベムラーゼはいつもの強権と絶対的な確信をもって太陽系侵攻を命じたのである。

 

 「ベムルスカ」は当初、首相専用艦として使用されていたが、バジウト星系での地球戦艦との遭遇戦後、首相専用艦にはより強固な防御力が必要という意見が強まり、その任を解かれた。しかしその後、艦隊指揮能力の高さが評価された結果、本国艦隊旗艦への転用が決定し、新装備の搭載を含む大規模改装が行われていた。

 面目を一新した深紅の巨艦は、かつてバジウト星系に姿を見せた時よりも戦闘艦としての精悍さと禍々しさを大きく増していた。

 

 ベムルスカが旗艦を務める『本国艦隊』とはその名の通り、ボラー連邦首都星を守護する最後の“盾”であり、連邦軍所属艦隊の中でも最大級の戦力が与えられていた。その数、実に三百隻。

 しかし今、ベムルスカが率いている戦力はその僅か1/5にも満たなかった。と言っても他艦が全て喪われた訳ではない。他の艦艇は太陽系外惑星圏各地に展開し、各個に戦闘行動中だった。

 第十一番惑星、冥王星、海王星、天王星とそれらの衛星群を中心に展開していた現地軍——地球防衛艦隊——は突然のボラー連邦の大艦隊襲来に混乱しつつも、未だ懸命の抗戦を続けていたからだ。地球艦隊はいずれも小規模かつ小型艦が中心で(航宙能力の高い大型艦の大半は第二の地球探索に出動中だった)、艦隊間の連携も十分とは言えなかったが、どれほどの劣勢下にあっても彼らは抗戦を止めず、一部の艦が搭載する大威力砲——波動砲——の効果もあって、本国艦隊側が思わぬ損害を強いられることもあった。

 しかし、それでも両軍の戦力比は圧倒的であり、太陽系外惑星圏の戦闘はボラー本国艦隊が押し切る形で決しつつあった。辛うじて内惑星圏に落ち延びた地球艦艇もいたが、その数は僅かであり、最早脅威とはなるまい——アウロ・ユールフ本国艦隊司令長官はそう考えていた。

 むしろ問題は、地球艦隊との戦闘後、本国艦隊各艦に戦術補給の必要が生じたことだった。本国艦隊は、現在のボラー連邦軍では戦力評価カテゴリー『A+』に分類される最強級の戦力だったが、それが僅か一戦で補給が必要になるほどの激戦を強いられたのである。その事実は、対戦した地球艦隊の精強さと勇戦ぶりをこれ以上ないほど雄弁に物語っていた。

 予想外の消耗に艦隊指揮官として苦い想いを噛み締めつつも、同時にユールフは浮き立つような高揚感も覚えていた。

 所詮は辺境の田舎軍隊と考えていたが、なかなかどうして、この星系の連中は技量・士気・兵器のいずれもが粒揃いときている。

 たった一隻で一個打撃艦隊を半壊させたという『アリゾナ』、主力艦隊ごと司令長官のバルコム元帥を討ち取った『ヤマト』、いずれも話半分程度にしか信じていなかったが、あながち間違いではないらしい。

 首相閣下、あなたの眼中にはデスラーしかないようですが、舐めてかかると、この星系の連中に足元をすくわれますよ。いや、俺とて他人の心配をしている場合ではないか——。

 

 銀河中心方面から急行してくる艦隊が発見されたのはそんな時だった。スペクトラム分析の結果、接近しつつある艦隊はガルマン・ガミラス艦隊であることが特定された。

 作戦当初の構想では、発見された艦隊を迎撃するのは本国艦隊の中でも予備戦力に指定された他隊の筈だった。しかしユールフは、あえて直卒する主隊を用いることを決めた。太陽系での戦闘開始以降、主隊が戦闘に及んだ機会は一度としてなく(艦隊指揮官の直卒戦力という役割上、仕方のない面もあったが)、主隊の将兵がかなりのフラストレーションを溜め込んでいたからだ。

 首都星を護る最後の盾である本国艦隊は、優先して優良装備と優秀な人員を与えられたエリート部隊であったが、その性格上、実戦を戦うことは殆どない。彼らが実戦を戦うということは、それはつまり首都星が危機に瀕しているのと同義だからだ。

 もちろん、優秀者揃いの彼らは、彼らが戦わないことが本国の平和と安全を意味していることを十分に理解していた。しかしその一方で、実戦経験豊富なヴェテランをも多数擁する彼らは、(あくまで密かにではあるが)実戦への投入を強く望んでいたのである。

 本国艦隊を率いるユールフ自身は、今回の『出稼ぎ』には終始反対の立場だったが、艦隊将兵の士気が天を衝かんばかりであることも十分に理解していた。事実、既に地球艦隊との戦闘に投入されている各隊は、各級指揮官が驚くほどの積極性と攻撃性を発揮していた。

 しかし、そんな艦隊各隊の奮戦を他所に、主隊だけは完全に蚊帳の外に置かれており、表立って不満を口にする者こそいないものの、内心の鬱屈は隠しようがなかった。そんな時に捕捉されたのが件のガルマン・ガミラス艦隊だったのである。

 お誂え向きに、主隊は他隊よりも迎撃にも適した宙域にあり、余裕を以ってガルマン・ガミラス艦隊を迎撃——待ち伏せできる筈だった。

 

「——小官はバジウト星系と見ます」

「艦隊の集結地点として、バジウトは踏み込み過ぎではないか?ガミラス人たちもそこまで無謀ではあるまい」

「彼奴らにとっては、長距離行軍直後に伏撃を受けることになる。そうなれば休止や再編どころではない。そんなリスクを負うとは思えんが」

「ガルマン人はともかく、ガミラス人どもの積極性を過小評価すべきではありません。我々が捕捉しようとしているのは——」

 ベムルスカの艦橋内では、星域図が表示されたディスプレイを囲み、艦隊参謀たちが活発な議論を交わしていた。

 縦の命令系統が極めて強いボラー連邦軍内では何より上官、指揮官の考えが重視される。艦隊参謀はそれぞれの専門分野における助言者という性格が強く、指揮官から問われれば答えるという補佐的対応が一般的だ。逆に言えば、自ら積極的に意見を述べる参謀は極めて珍しい。しかし、この場の参謀たちに戸惑いはなかった。外ならぬ彼らの指揮官自身がそれを望んでおり、参謀団にとってはむしろこうした議論が日常であるからだ。

「——“前衛”艦隊なのです。彼らの最高指揮官のための前路啓開、いや実際的には前路“掃討”を任としている筈です。自らを犠牲にしてでも“総統”に立ちふさがる脅威を引きずり出し、殲滅しようとするでしょう」

「待ち伏せされるリスクを冒してでも踏み込んでくる、と?」

「はい。むしろ、それを望んでいる可能性すらあります」

 その言葉を最後に、居並ぶ参謀たちが遂に沈黙した。既に彼らは30分近く議論を続けており、主張すべきは全て主張した後だ。

「・・・・・・あえて待ち伏せさせて喰い破る、か。ふん、舐められたものだ。」

 参謀たちを束ねる艦隊参謀長——グラニト・クリヴァ少将はボラー人にしては小柄だが引き締まった体躯をその場で回転させると、自らの指揮官に告げた。

「長官、参謀団による議論は尽くされたかと存じます。方針の決定をお願い致します」

 それまで長官席で参謀たちの議論に黙って耳を傾けていた本国艦隊司令長官アウロ・ユールフが参謀たちを見渡した。その蒼い瞳に迷いも逡巡もない。クリヴァとは対照的な長身痩躯を頷かせると、参謀たちに告げた。

「達する。艦隊は直ちにバジウト星系に移動。急行してくると予想されるガルマン・ガミラス前衛艦隊を迎え撃ち、これを殲滅する」

「「「「はっ!!」」」

 

 ベムラーゼ首相率いるボラー本国軍が太陽系に向かったという至急報を受けたデスラー総統は、シャルバート星親征の帰路にあった自らの艦隊の進路を急遽太陽系に変更した。

 後に“デスラーズ・ラン”と呼ばれることになる戦略機動——強行軍の開始である。

 そして、急遽進路を変更し太陽系へと向かうデスラー艦隊の更に前方では、ガルマン・ガミラス帝国軍東部方面軍『第二四重空間機甲師団』が先行、前衛の任に就いていた。

 彼らは方面軍直轄のエリート部隊であり、デスラー総統の身を案じた東部方面軍司令長官ガイデル元帥が無理を押して送り出した虎の子の戦力——戦略予備——であった。

 艦の大半が旧ガミラス帝国艦であることが示すとおり、師団はガミラス帝国以来の歴戦部隊というだけでなく、過去には太陽系に派遣され、戦闘に及んだ経験すら有していた(但し、当時は旅団編成だった)。とはいえ、太陽系への急行が命じられた時点で師団は他戦線で戦闘中であり、その実行は容易ではなかった。

 すぐに戦略機動が可能なのは全戦力の半数にも満たず、特に稼働率と整備性に難のある新型の大型艦艇は皆無だった。加えて、大規模戦闘の最中から引き抜かれ、休息も挟まないまま強行された長距離航宙によって人員にも兵器にも疲労が蓄積しており、精鋭部隊といえども実戦力の低下は否めなかった。

 唯一の例外は、方面軍に配備されたばかりの新鋭大型戦闘空母で、師団の戦力低下を懸念したガイデル元帥の特命により増援として臨時に師団に加わっていた。

 彼ら——第二四重空間機甲師団に下された命令は、総統直卒艦隊の前衛として太陽系までの航路と太陽系内の安全を確保すると共に、ガルマン・ガミラス軍の大規模な太陽系展開について地球政府との事前折衝を完了させることだった。

 ガルマン・ガミラス軍の太陽系内及び近傍での軍事力展開については、過日実行された『太陽制御作戦』時に地球との間で基本協定が締結されていたものの、今回の直卒艦隊派遣は戦力規模的にその枠組みを大きく超えていたからだ。旧ガミラス帝国が地球を滅ぼしかけて未だ十年と経っていないことを考えれば、誤解に基づく衝突を避けるためには必要な外交的措置だった。

 だがその結果、師団は道程を急ぐために無理な連続ワープを重ねて行ったことで機関不調をきたす艦が複数発生し、戦力低下に更なる拍車がかかった。増援の戦闘空母にしても、新装備試験中から引き抜いたことが祟り、肝心の艦載機隊の搭載が間に合わないなど、無理に無理を重ねた緊急出動の悪影響が随所に見られた。

 

「しかし、我等は行かねばならない。あのお方は、ガミラスとガルマンという二大民族統合の象徴であり、希望そのものなのだ。万が一のことがあれば、ガルマン・ガミラスは一瞬で瓦解する。

 故に、絶対にお護りせねばならん。たとえ我が師団が、一兵残らず全滅しようとも」

 

 新興の連合国家故の脆弱さを未だ多く抱えたガルマン・ガミラス帝国にとって、ガミラスとガルマンという二大民族統合のイコンであるデスラー総統を今失うことは絶対にできない——そう考える第二四重空間機甲師団長ドムト・ヴァイゼン中将は、既に太陽系に先着しているであろうボラー連邦軍による待ち伏せと、無理な強行軍による戦力の減耗を覚悟しつつも、不退転の決意で太陽系への突進を継続していた。

「師団長、師団の艦列が伸びています。太陽系到達前に、一度足並みと隊列を整える必要があると判断します。できれば、機関系のチェックのために大休止も」

「そうだな、補給参謀。しかし行軍停止の時間は最小に留めたい。

 艦列の修正は、艦隊航行速度を調整して航行しながら行う。

 休息も小休止とし、機関不調の艦は後から追及させる。」

「・・・・・・はっ、了解致しました」

 ヴァイゼンが返答した内容は実際的にはかなり無理のあるものだった。その点に気づき逡巡を見せた補給参謀の肩をヴァイゼンは軽く叩いた。

「すまんな、補給参謀。貴官の具申は極めて妥当だ。

 しかし我々は総統の前衛。今はどうしても時間が欲しいのだ」

「はい、心得ております」

 今度は迷いなく応じた補給参謀にヴァイゼンは頷いた。

「それで、集結点の適地は?」

「艦首方向8―12度820光年の距離に『バジウト』星系があります」

「バジウト。確か主星は・・・・・・」

「はい、第三惑星『バース』です。しかし“ヤマト”の報告にもありましたとおり、既に消滅が確認されています。星系には他に居住や資源価値のある惑星が乏しく、今は完全に無主の星系となっているようです」

「・・・・・・そうか」

 そう応じたヴァイゼンの内心ではしかし、歴戦の指揮官としての本能が強い警報を発していた。

 敵が待ち伏せするには格好のロケーション。しかも元は敵の勢力圏であり、空間環境特性なども十分に把握されている。

 常識的には、いきなり飛び込むには危険すぎる。だが今は、確実に敵を釣り上げることができる適地と理解すべきだ。それに——待ち伏せしている連中を驚かせる方法が無い訳ではない。

「わかった。星ごと葬られたバースの人々には悪いが、この地を使わせてもらおう。

 主席参謀。師団はバジウト星系に向かう。それと、各戦隊司令と全艦長との通信回線を開いてくれ」

 

——バジウト星系外縁部

 陣形展開中のボラー本国艦隊の正面に多数の煌めきが一斉に走った。それも一つや二つではない、宇宙空間の一角を瞬間的に埋め尽くすような密度で閃光が次々に連続する。

 ベムルスカ艦橋のオペレータが次元震反応を告げた時には、ダークグリーンに彩られた艦艇群が空間を突き破って次々に出現していた。地球艦艇とは全く異なる設計思想で形作られたそのシルエットは、ボラー連邦軍にとってはお馴染みの敵手、ガルマン・ガミラス軍艦艇だ。それが30余隻、完璧なコンバットフォーメーション——旋回放射陣形——で通常空間に飛び出してきたのである。

 ベムルスカ艦橋内に広がる声にならないどよめきを他所に、艦隊指揮官であるユーロフは小さく呟いた。

「よもやタッチの差とは。まったく驚かせてくれる」

 ユールフが直卒する本国艦隊主隊がバジウト星系外縁部に展開したのは、僅か二時間前だった。二十四時間前に超長距離タキオン観測で接近してくるガルマン・ガミラス艦隊を捕捉していたものの、その到着までにはまだ半日程度の余裕がある筈だった。しかし、敵艦隊はそんな予想を易々と覆し、本国艦隊が布陣を完全なものとする前に出現したのだ。

「こちらの想定より半日以上早いとは。やりますな」

 ユールフの傍らで参謀長のクリヴァが言った。その声には紛れもない感嘆が滲んでいる。

「ああ、足の遅い大型艦は置いてきたのだろう。思い切りのいい指揮官だ。

 さすがに数は幾らか減らしているようだが“末脚”は見事なものだ。

 それにあの陣形、我が軍のアバウトなワープ技術ではとても望めん」

 クリヴァに応じるユールフの声もどこか楽しげだった。そしてその調子のまま命じる。

「全艦、砲雷撃戦用意。戦闘隊形への移行を急げ。

 敵は手練れ揃いだ。すぐに撃ってくる」

 

——第二四重空間機甲師団 旗艦「ヴァイヘルム」艦橋内

「真方位十八度方向に艦影多数。概算距離四万。現在、敵味方識別中」

「精測開始せよ。FCSとのデータ連動急げ」

「——識別完了。発見せる艦影はボラー連邦軍艦隊と確認。総数五八」

「全艦FCS連動。現在、精測データ共有中」

「敵艦隊中央に未知の大型戦艦一を捕捉。

  艦隊AIは脅威度A+と評価。現在、類似艦から性能推測中」

「敵艦隊、速度上げた。左右に展開」

 高練度者揃いで知られる古豪師団の旗艦だけに、敵艦隊との遭遇と接近を告げるオペレータの報告も落ち着いたものだった。

「やはりいたか。足の速い艦だけで早駆けした甲斐があったな。

 ただ、あまり驚いてはもらえなかったようだが」

 この艦隊——第二四重空間機甲師団——を率いるドムト・ヴァイゼン中将は微かな笑みを浮かべて言った。

 未だ航行陣形から戦闘陣形へ移行途中のボラー艦隊とは異なり、重空間機甲師団は完全な戦闘隊形でワープアウトしていた。命令さえあれば、即座に戦闘開始が可能だ。

 師団長であるヴァイゼンは、ボラー艦隊による待ち伏せを早くから予見していた。そして、伏撃を受けるとすれば、太陽系への最短ルート上に位置するバジウト星系である可能性が最も高いことも。

 故に彼らは、ボラー艦隊の裏をかくことができる程の迅速な戦略機動を行ったのである。その実現のために機関不調から脱落を余儀なくされた艦も多かったが、その甲斐あって彼らは伏撃を図ったボラー艦隊に対する逆奇襲に成功していた。

 唯一の誤算は、奇襲を受けたボラー艦隊が大きく混乱するだろうという予想に反し、目前のボラー艦隊は整然と迎撃態勢を整えつつあることだ。

 しかし、ここで攻撃を躊躇しても何も得られるものはない。

「諸君、機先を制すぞ。全艦咄嗟戦闘。砲撃目標自由。

 敵は手練れだ。今のうちに押せるだけ押す」

 偶然ながら、両軍の指揮官は言語こそ異なるが全く同じ意味の単語で敵軍を評していた。そしてそれがこの戦いの号砲となった。

 既に師団各艦の火器管制システムのウォーミングアップは完了していた。大口径砲を有する戦艦、戦闘空母、重巡洋艦が次々に砲撃を開始し、野太いオレンジ色の火線が虚空を切り裂く。延伸したその多くが未だ展開中のボラー艦隊に突き刺さった。

「——敵艦隊に命中弾多数を確認っ」

「いいぞ、弾着修正しつつ砲撃を継続。砲火を絶やすな。

 60ゲック後、砲撃管制を旗艦統制に切り替える。

 砲術参謀、砲撃指揮を執れ」

 長距離行軍に伴うワープアウト直後且つ、空間環境データの収集すら不十分という悪条件下にもかかわらず、初弾から命中弾多数を叩き出した配下の技量に、ヴァイゼンは舌を巻いた。

 やはり総統閣下の露払いともなると士気が違う。だが、戦力的にはこちらが明らかに劣勢である以上、長期戦は避けねば。

 前述したとおり、彼らはこの地に辿り着くまでにかなりの無理を重ねていた。

 元々、第二四重空間機甲師団は他戦線で攻勢作戦中のところ、半ば無理やり前線から引き抜かれた上に、高速発揮可能な艦のみで再編成されていた(本来の師団主力である中速重装艦は元の戦線に残置されている)。

 結果、師団長であるヴァイゼンが直卒する臨時部隊は、旧ガミラス帝国艦とガルマン・ガミラス建国後に就役した少数の新型艦だけで編成せざるを得なかった。しかも、これまでの最前線任務で既に疲弊していたところに常識外れの強行軍まで加わって、各艦で機械的トラブルが続出し、バジウト星系まで進出できたのは抽出された艦の七割弱――三二隻に過ぎなかった。

 そして疲弊、消耗していたのは艦だけではない。今は士気の高さと遭遇戦の興奮が兵たちに疲労を忘れさせているが、戦闘が長時間に及べば確実に戦意と戦技を蝕むことになる。

 決着を急がなければならない。

 しかし、初手から命中弾を連発しているにもかかわらず、ボラー艦隊は全く崩れる気配がない。それどころか、秩序立った対抗砲撃まで開始している——やはり、敵は普通のボラー艦隊ではないようだ。

「主力艦隊・・・・・・いや、本国艦隊か」

 ヴァイゼンには思い当たることがあった。ボラー連邦軍には見た目こそ通常艦と違わないが、装甲素材にしても波動エンジンにしても、ワンランク以上高強度・高出力のものを装備した高性能艦が存在する。通常の艦隊であれば旗艦にのみ充当されるが、一部のエリート部隊では例外的に所属全艦が高性能艦で固められているという。ベムラーゼ首相自らが太陽系にまで遠征してきているという情報もある以上、最精鋭の本国艦隊が警護戦力として同行していてもおかしくはない。

 もしそうなら、このまま漫然と砲撃戦を継続しているだけでは、現在の優位もやがて失われる。こちらは快速艦が多くを占める分、正面切っての砲撃戦ではスペック的にボラー艦艇に対して劣勢だ。現在の優位はあくまで奇襲効果によるものでしかない。

 ならば、採るべき手段は一つだ。

「通信参謀、宙雷戦隊に——」

「宙雷戦隊旗艦『ケーニキルス』より入電。“我、突撃準備完了。命令未ダカ” です」

 ガーラルドの奴め、張り切っているな。

 ヴァイゼンは麾下の第六四七宙雷戦隊を率いる若手士官——ガーラルド・ケッテル大佐——の顔を思い出しながら苦笑した。彼には若き宙雷戦隊指揮官が戦意をみなぎらせている理由も想像がついていた。出撃の直前に艦隊に加わった新型戦闘空母と、艦を率いるガルマン人艦長への強い対抗意識だ。

 

 ガルマン・ガミラス帝国を率いるデスラー総統はガルマン人とガミラス人は対等の関係であると常々周囲に説いていたが、全てのガルマン人・ガミラス人が心底からそれに同意していた訳ではない。特に、旧ガミラス帝国出身の少壮士官たちは、一度はボラー連邦の軍門に下ったガルマン人——その中でも特にガルマン共和国軍出身者を“弱兵”“負け犬”と見下す態度を隠そうとしなかった。

 第六四七宙雷戦隊を率いるガーラルド・ケッテル大佐もそんなガルマン人に対する侮蔑を隠そうとしないガミラス人士官の一人だ。彼は、出撃前に旗艦で行われた作戦会議の席上、臨時に艦隊に加わったガルマン人艦長に対してこう言ってのけた。

 “観戦”されるなら、後方からが宜しかろう。もちろん、“観戦”である以上、発砲も慎んでいただきたい。背後から味方撃ちされるのは御免蒙るのでね――。

 さすがにこの時はヴァイゼンが強い言葉で叱責し、ケッテルも渋々謝罪を口にしたが、それは師団長であるヴァイゼンに対する儀礼以上のものはなかった。

 ヴァイゼン自身は、半世紀以上にも及ぶ軍歴の中でガミラス帝国に属する様々な星の出身者と共に戦った経験があり、その中には“一生の友”とまで頼んだ者もいた。それ故、ガルマン人に対しても特に含むところはない。

 どんな星にも勇敢な者、優秀な者がいる一方で、そのどちらでもない者も同じように存在している。それはガミラス人ですら例外ではない——そんな単純な事実を未だ知らない若者が今のガミラスには多すぎるのだ。

 あるいは、母星が滅び、最高指導者を喪った(正確に言えば喪ったと誤認した)ことが、若者たちを強く逞しくした代償として、精神的には自らを特別視することで、逆に他者に対する侮蔑や排他性を先鋭化させる結果になったのかもしれない。

 だが、ヴァイゼンは事態をそれほど深刻には考えていなかった。

 総統ご自身が二つの民族の対等な合流を心底から望んでおられる以上、二つの民族の融和は今後確実に進んでいく。ボラーとの戦争があと何年続くかは分からないが、戦時下という環境は苛烈であると同時に、そこに在る人々の人間性を残酷なくらい露にする。そこで初めて人は気がつくのだ。個人と個人の間で芽生える信頼は、出自や民族に依らないことを。戦場で命を預けるに足ると心底から信じられる友は、生まれた星でも肌の色でもなく、剥き出しの人間性の中でしか見出せないことを。

 ヴァイゼンの脳裏にかつて轡を並べて戦った一人の漢の貌が思い浮かんだ。

 

——お前なら、どうする?シュルツよ。

 

 ヴァイゼンが「命を預けるに足る」と信じた親友の一人は、彼らが向かおうとしている辺境の星系で永遠の眠りについている。その親友を亡き者にした地球の戦艦は、今や総統が最も信頼する異国の艦になった。総統と地球の艦は互いの祖国と民のために死力を尽くして何度も戦い、争った。そしてその果てに——今や唯一無二と呼べるほどの信頼を分かち合ったのだ。

 そうだ、それを思えば、元は根を同じくする二つの民族が融合を果たすことなど、どうということはない。

 

——そう言えば、お前も地球人たちの技量と誇りを高く買っていたな。もし奴らが友軍なら、自分と部下の背中でも安心して任せられるとも。

 

 親友がそう評した地球人たちを救援すべく、総統御自ら太陽系へと突き進んでいる現状に何とも言えない運命の皮肉を感じつつも、ヴァイゼンは目前の現実に意識を戻した。

 旗艦「ヴァイヘルム」艦橋のメインパネルで素早くボラー艦隊の現況を確認する。

 既に命中弾多数を与えているにもかかわらず、やはりボラー艦隊に脱落した艦は少ない。おそらく、砲力や機動力をセーブすることで、防御シールドにエネルギーを集中させているのだ。その証拠に、敵艦隊は足並みと陣形こそ揃っているが、展開速度自体は決して早くはない。先制された以上、今は守りに徹しつつ、反撃の機会を窺っているのだろう。

 いや、そう見せて、こちらを誘っているという可能性もあるが——。

 一瞬の躊躇。しかし、ヴァイゼンは軽く頭を振ってそれを振り払った。

 正面切っての殴り合いでは不利である以上、積極性と能動性——それらがもたらす戦場のイニシアティブを失ってしまえば、待っているのはジリ貧だけだ。

 よろしい、今しばらくは先制の有利を最大限に活用させてもらうとしよう。

 肉食獣を思わせる獰猛な笑みを浮かべた古豪師団の長は決然と命じた。

「宙雷戦隊に突撃命令。突撃開始は120ゲック後。突撃方位は戦隊司令に一任。

 師団主力は砲撃を継続しつつ2万カルム交互躍進する。

 諸君、敵に消極の代償が高くつくことを教育してやろう」

 

——本国艦隊旗艦「ベムルスカ」艦橋内

 交戦中のガルマン・ガミラス艦隊が新たな行動を示しつつあることはすぐに分った。戦艦と重巡、そして戦闘空母からなる大型艦群がテールノズルから長大な噴射炎を引きずりながら前進を開始したのだ。それも各六隻ずつ、二つのグループに分かれて交互に前進と砲撃を繰り返している。

 一方、取り残された格好の中小艦群二十隻は、その場でゆるやかに回頭——脆弱な側面を晒さないよう慎重に軸先を転じつつある。一見、防御力の高い大型艦が盾となっている間に小型艦を逃がそうとしているようにも見えるが——。

「長官」

「ああ、分かっているよ、参謀長。しかしもう少し待て」

 戦闘開始以来、指揮官席で頬杖をついた姿勢を崩さないユールフには、傍らに立った参謀長の焦燥の理由が手に取るように分かった。

 敵艦隊主力が開始した“交互躍進砲撃”には、歴戦の参謀長をも戦慄させるほどの“切れ”と“圧”、そして正確さがあった。

 一般論として、戦闘中の艦艇のエネルギーは「攻撃」「防御」「機動」という三つの要素に割り振られる。よほど高性能の艦でもない限り、性能リソースが有限である以上、三つの要素全てを完璧に満たすことはできない。

 交互躍進砲撃とは、そうした艦艇性能上の限界と、攻勢を強めるためには艦隊を前進させなければならないという戦術上の要求の矛盾を解消するために生み出された艦隊運動だ。

 つまり艦隊を“前進するグループ”と“その場に留まる(厳密には可能な限り速度を落とす)グループ”の二つに分け、前進——敵に近づくことにより被弾確率の上がるグループは「防御」と「機動」に、その場に留まって援護砲撃を続けるグループは「攻撃」と「防御」にリソースを振り向けるのである。更に、二つのグループは短時間の内に役割が入れ替わる。そうすることで、艦隊全体が常に一定以上の防御力を維持しながら敵への接近を果たすことができる——あくまで理屈の上では。

 しかし、常に損害と混乱を強いられる戦場でそれを整然と行うのは容易ではない、いや、非常に難しい。

 二つのグループの連携が正確且つスムーズに行われなければ、艦隊の前進が実質的にストップしたり、援護砲撃が途絶えた状態での前進が強行されたことで敵の砲火が集中したりするような事態が続出してしまうからだ。

 だが、目前のガルマン・ガミラス艦隊はまるでボラー艦隊の阻止砲撃など全く存在しないかのように整然と前進と逆噴射による停止を繰り返しながら本国艦隊に接近してくる。

 ガルマン・ガミラス艦隊の接近に伴い、砲撃の密度と威力が上昇したことで、戦闘開始以来「防御」にリソースの多くを振り向けていた本国艦隊の各艦にもいよいよ損害が発生し始めた。

 だが——ここで動けばこれまでの“芝居”が無駄になる。

「敵小型艦群、右舷方向に向けて加速を開始しました」

「長官、敵の宙雷戦隊です」

「ああ。突撃前の予備機動だ」

 まったく、憎らしくなるくらい腕のいい連中だ。

 敵は正面切っての砲撃戦でこちらを意識と砲火を釘付けにしながら、側面から宙雷戦隊を切り込ませ、こちらの艦列をズタズタに切り裂くつもりだ。

 凡庸な指揮官なら主隊は現位置に留めたまま、宙雷戦隊だけを側方に動かすところだが、それなら対処は難しくない。遠距離砲撃に徹する主隊など無視して、宙雷戦隊に砲火を集中させればいい。

 しかし、敵の指揮官は危険を省みずに主隊まで大きく前進させることで、砲撃の威力と命中率を高めた。そうすることで、こちらの注意と攻撃が宙雷戦隊に向くことを阻止しているのだ——敵ながら見事という他ない。

 ボラー艦艇は設計思想的に正面からの堂々たる大規模砲撃戦を重視しているから、相対的に側面火力が弱い。もし今、宙雷戦隊を阻止しようと回頭すれば、今度は接近してきた正面の大型艦群から無防備な側面を狙い撃たれてしまう。

 主隊まで肉薄させている点はともかく、挟撃戦術自体はガルマン・ガミラス軍の十八番(おはこ)であり、実際にいくつものボラー艦隊がこの戦術で屠られていた。

 ボラー艦隊がこれを阻止するには、敵が宙雷戦隊を分離する前に濃密な火力で射竦め、一気に殲滅するか、敵に数倍する戦力で正面と側面を同時に相手取るしかないとされている。しかし、敵艦隊から先制攻撃を受け、戦場での主導権を握られた時点でユールフはこれらの対抗戦術を早々に捨てていた。常識的な対応でこの敵を退けるにはもう遅すぎる。だからこそ、“あえて”敵艦隊に分離を許したのだ。

 もちろん、並大抵の胆力でできることではない。それは指揮官のみならず、艦隊全将兵にとっても同じことだ。今、浮足立てば、一気にやられる。

 しかし、ボラー連邦本国艦隊はこれに耐えた。指揮官への信頼、自らの技量に対する自信が、ガルマン・ガミラス軍の発する“兵気”に打ち勝ったのだ。

「——長官っ」

 未だ表面的には冷静さを維持しているものの、クリヴァの声も焦燥で僅かに上ずっている。しかし、ユールフはそれでも口調と姿勢を変えようとしない。

「ここが勝負どころだぞ、参謀長。

 前衛艦群は正面の敵艦隊主力への対抗砲撃を継続。

 本艦は“ツヴェリンβ”発射準備。弾数は2」

 このまま手をこまねいていては、艦隊は為す術もなく挟撃され殲滅される——臓腑が焼け千切れるような切迫感と焦燥感がベムルスカ艦橋内に広がっていく。それは、感情の揺らぎを一切感じさせない艦隊司令長官すら例外ではない。その証拠に、彼の額にも薄っすらと汗が浮かんでいた。

「敵宙雷戦隊、進路を変えた!旋回運動しつつ更に増速!

 三時方向から当隊へ突撃する模様!!」

 遂に状況報告するオペレータも冷静さを保てなくなった。彼の声には明らかに悲鳴の成分が混じっていた。

 だが、その報告こそ、本国艦隊司令長官が待ち望んでいたものだった。

「諸君、よく我慢した」

 ユールフは指揮官席からやおら立ち上がると、これまで溜め込んでいた全てを吐き出すように一息に命じた。

「ツヴェリンβ連続発射。目標、敵宙雷戦隊。

 前衛艦群は“対抗砲撃”を“制圧砲撃”に切り替え。

 重投射戦隊は全力投射用意。目標、エリア座標2-5-7」

 司令長官の豹変ぶりに、クリヴァ参謀長を含むベムルスカ艦橋クルーたちは一瞬呆気にとられた。しかし高度に訓練された軍人である彼らは更に次の瞬間、上官の命令を実効性を有する無数の指示に分解、艦隊中に伝達を開始する。

 まるで引き絞られた弓のように緊張とフラストレーションを高めていた艦隊が一斉に動き始めた。練度の高い艦隊だけに、一たび命令が下ればその動きは驚くほど速い。

 深紅の旗艦「ベムルスカ」、その艦橋側面——首相専用艦時代には存在しなかったチューブ状のランチャー——から大型ミサイル二発が相次いで放たれた。それらは発射後すぐに右方向へ鋭いターンを打つと、突撃を開始した宙雷戦隊を迎え撃つように大加速を開始する。

 続いてベムルスカより前方に展開する前衛艦群——三八隻のアルパ型戦列艦とバーティル型装甲艦からなる——が砲撃を強めた。砲撃の間隔もビーム光度もこれまでとは比較にならない。防御シールドに重点配分していたエネルギーを主砲に回す“制圧砲撃”を開始したのである。

 その効果は直後に表れた。

 ここまで、順調に躍進砲撃戦を展開していたガルマン・ガミラス艦隊の前進が文字通りカウンターを受けてストップしたのだ。

 もちろん、ガルマン・ガミラス艦隊も正確な砲撃で負けじと撃ち返している。しかし、宙雷戦隊を分離した彼らの実数は十隻余り。ボラー艦隊前衛の半数以下に過ぎなかった。これまでは本国艦隊の機先を制したこと、本国艦隊側がリソースを防御側に厚く振り向けていたことで戦いを優勢に進められていたものの、がっぷり四つに組んでの本気の殴り合いとなれば、今度は数の暴力がものを言う。

 そして、一隻のデストリア級重巡が艦首から艦尾まで一撃で貫かれて爆沈した瞬間、両者の形勢は完全に逆転した。デストリア爆沈の衝撃波を受けた他のガルマン・ガミラス艦が姿勢を崩し、そこをボラー本国艦隊が鋭く突いた。

 砲撃密度と精度を落したガ軍艦艇に砲火が集中し被弾が相次ぐ。さすがに頑強な戦艦、戦闘空母は重巡のように一撃で爆沈することはなかったが、各部の損傷によりで攻撃力が更に低下し、ガルマン・ガミラス軍の劣勢が一層鮮明になった。

 

——第六四七宙雷戦隊旗艦「ケーニキルス」艦橋内

 ボラー本国艦隊を釘付けにする筈だった師団主力の苦境は、既に突撃運動に入っていた宙雷戦隊も把握している。

 戦隊司令ガーランド・ケッテル大佐は焦燥も露に叫んだ。

「いかんっ!戦隊各艦、速度一杯。最大距離で統制宙雷戦を仕掛ける!」

「司令、長距離行軍で機関不調の艦もあります。速度一杯では突撃陣形を維持できません!」

「分っている!しかしこのままでは師団主力が我々の突撃まで保たない」

 注意喚起した宙雷参謀がケッテルの叩きつけるような反論の前に沈黙する。

 畜生、参謀を他の面々の前で怒鳴りつけるなんぞ、最低の統率だ。

 まだ歳若いケッテルは自嘲と共に苦い思いを噛み締めた。

 だが、とにかく今は一分一秒でも早く、敵の注意と砲火をこちらに向けさせなければならない。統制の取れない大遠距離からの宙雷では効果は薄いだろうが、背に腹は代えられない。

 しかし、彼らの正面にも本国艦隊旗艦ベムルスカが放った二発の大型ミサイルが迫っていた。

「距離三○に誘導弾二。大型です、急速接近」

「たった二発でガミラスの宙雷突撃を阻止できると思ったか!

 戦隊速度・進路そのまま!対空迎撃、撃破しろ」

 戦隊の先陣を切る旗艦ケーニキルスの艦首砲塔が旋回し、矢継ぎ早にオレンジ色のビーム光を放つ。直線的な軌道で接近してきた大型ミサイルは主砲の三連射であっけなく撃破された。

(爆発が、小さい?)

 だが、破壊されたミサイルが発した閃光に、ケッテルは何か引っかかるものを感じた。対艦用の大型誘導弾にしては、爆発が小さすぎる気がしたのだ。あるいは、単に弾頭が起爆に至らず、破壊されたという可能性もあるが。

 しかし、そんな想いも一瞬だけのこと。ケッテルは師団主力を追い詰めつつあるボラー艦隊の艦列を切り裂くことに意識を集中した。

 しかし次の瞬間——。

 つんのめるような逆Gの衝撃がケーニキルスを貫き、艦橋でも前方へと投げ出されて転倒する兵士が続出する。

「艦の損害状況報せ!後続艦との衝突に注意!!」

 咄嗟に指揮官席の手すりを掴んで転倒を回避したケッテルが叫ぶ。衝撃の大きさから被弾したと考えたのだ。しかし——。

「被弾ではありません!機関が異常停止!

 慣性制御も含め電源も大半がダウン。緊急用の逆推進が――」

 衝撃の原因は大加速中だった機関と慣性制御が同時に停止したことで生じたものだった。更にそこに機関が異常停止した際に自動開始される逆噴射まで加わり混乱に拍車をかけていた。

 しかし、それらを伝えようとした機関長の報告は、先ほどよりも更に巨大な衝撃で遮られた。

「後続の“ルベント”が右舷後部に接触!損害不明!」

 突然加速を停止したケーニキルスを避けきれず、後続のクリピテラ級駆逐艦が衝突したのである。

「一体、何が・・・・・・」

 信じられない思いでケッテルは艦橋窓から外を見た。彼のケーニキルスとの衝突で弾け飛んだ駆逐艦が舷側から火を噴きながら漂流している。ダメだ、あの損害では助かるまい。

「司令!戦隊全艦が推力を喪失、航行不能になっています!!」

「少なくとも八隻が衝突で損傷、電源喪失により通信リンクも不安定です」

 ゲシュタム機関が緊急停止したのはケーニキルスだけではなかった。後続する宙雷戦隊全艦——二十隻全てで同じ状況が同時に現出していたのである。

 事態のあまりの異常さに打ちのめされつつも、ケッテルは無理やり意識を切り替えた。

「とにかく機関と電源の復旧を急げ!!このままでは身動きもできないまま狙い撃ちにされるぞ!!」

 

——本国艦隊旗艦「ベムルスカ」艦橋内

「長官っ、成功です!!敵宙雷戦隊は行動不能の模様です」

 謹厳実直なクリヴァ参謀長ですら喜色を隠し切れないでいることが新兵器——ツヴェリンβ——の効果を何よりも雄弁に物語っていた。

「ああ、ここまでの効果は正直予想外だったな。

 機関出力を多少でも落とせれば万々歳だと思っていたが・・・・・・。

 しかし根無し草とはいえ“機械人間”どもの技術、馬鹿にできんな」

 参謀長とは対照的に、顎に手をあてたユールフの表情はむしろ硬かった。その内心には、この兵器を開発し、彼の国に持ち込んだ“黒衣の人々”に対する驚異と猜疑がある。

 しかし、ユールフは首を振って想念を追い払った。今はまず目前の戦いにケリをつけるのが先だ。

「重投射戦隊に命令。目標、敵宙雷戦隊。標定完了次第、効力射で殲滅せよ」

 

——アドランテス級戦闘空母「ファルバーン」艦橋内

「おい、まずいぞ。このままでは——」

 そう呻いたのは新鋭戦闘空母「ファルバーン」のガルマン人艦長サムザー・フルシュテット大佐だった。

 直前まで、彼も彼の部下たちも腐りきっていた。ガルマン人の戦意と戦技を信頼しない宙雷戦隊指揮官が、彼らのファルバーンを主力後方に配置するよう具申し、師団長は(戦隊司令の言動を諫めこそしたものの)配置については具申をほぼそのまま受け入れていたからだ。結果、彼らは師団主力と共に行動していたものの、今のところは主力最後尾から気の抜けたような砲撃しかできていない。せっかくの大口径陽電子カノン砲も、前方の友軍艦が射線にかかるために思うような砲撃ができないのだ。

 しかし、今はそれが幸いした。

 主力最後尾に置かれていたために、戦場全体を俯瞰しえた彼の目は、ボラー連邦の新兵器によって推進力と動力を失って漂流する友軍宙雷戦隊と、それを殲滅しようと前進を開始したカーシャ級重投射艦の戦隊を同時に捉えていたからである。

 いくら彼らに冷や飯を食わせた、いけ好かないガミラス人たちとは言え、放っておくわけにはいかない。

「多連装擲弾システム、発射準備を為せ!

 第一目標、敵スペースロック、第二目標、敵重投射艦群。

 飛翔角七〇、強装、近発、一斉射!」

「艦長、重擲弾は一会戦分のみです」

 フルシュテットと同じガルマン人の副長が注意を促した。

「撃ち尽くしてかまわん。一発一隻でも討ち漏らせば宙雷戦隊が喰われる」

 スペースロックと呼ばれる大型対艦ミサイルを満載したカーシャ級重投射艦の瞬間投射火力はガルマン人たちもよく知るところであった。既に二十隻に満たない宙雷戦隊に四隻もの重投射艦が全力で撃ちかければ、一隻残らず殲滅されるのは必至だ。

 その間にも、戦闘空母ファルバーンの多連装擲弾システム発射準備は進んでいる。彼女を「戦闘空母」足らしめている艦首の広大な滑走路が観音開きの要領で左右に分かれた。

 中から現れたのは無数の大型VLS——垂直式発射機——だった。ファルバーンはここに搭載した新兵器のテスト中に引き抜かれたのだった。艦載機こそ搭載しないものの、彼女は大型誘導弾用のVLSを格納庫に満載していたのである。

「艦長!敵重投射艦群のスペースロック発射を確認!目標は友軍宙雷戦隊の模様」

「重擲弾、全力投射開始!!

 外すなよ!お高くとまったガミラス人たちにガルマン人の腕前を見せてやれ!!」

 師団長の許可を取っている暇はなかった。

 フルシュテットが命令するや、ファルバーンの艦首で立て続けに閃光が走った。そして次の瞬間、開放された格納庫から無数の火柱が次々に噴き上がり、爆炎とガスが全長500メートルを超える彼女の巨体をみるみる内に覆い尽くしていく。

 その圧倒的な光景に、何隻かの友軍艦では見張り員が「ファルバーン轟沈」と報告(もちろん誤認)したほどだ。

 ——間に合ってくれよ。

 遠ざかっていく重擲弾の群れを見送りながら、ガルマン人艦長は心の底から祈った。そうでなければ、俺たちが独断専行までした意味がない。 

 

——第六四七宙雷戦隊旗艦「ケーニキルス」艦橋内

「原因は、何らかの星間物質を取り込んだ機関が異常をきたしたとしか・・・・・・」

「ひとまず原因はいい。機関復旧まだか?電源だけでもいい」

 宙雷戦隊の混乱は続いていた。突然の機関停止の原因も分らないまま、時間だけが無為に過ぎていく。今のところ辛うじて復旧できたのは、通信と電測系の一部だけだ。

 赤い非常灯が明滅する艦橋内でもそれと分かるくらい、ケッテルの顔は強張っていた。

「だめです!本艦を含め復旧に成功した艦はまだありません」

「——っ!?敵重投射艦群、スペースロック発射を開始!

 目標は・・・・・・当隊の模様!」

 その報告は戦隊にとっての死刑宣告そのものだった。艦橋内の全員の視線が司令に集中した。

 一瞬の瞑目の後、ケッテルは静かに尋ねた。

「迎撃は可能か?」

「無理です。動力が回復しなければ手の打ちようがありません」

「当然か」

 ケッテルはグッと奥歯を嚙み締めた。電源がなければ、ビーム兵器はもちろん、ミサイル発射管の開放すら行うことはできない。

 兵たちも復旧に全力を挙げているが、仮に今この瞬間に機関と電源が完全回復したとしても、飽和攻撃という他ないカーシャ級の圧倒的な投射能力が相手では——。

「司令!ファルバーンより緊急信です」

 あのガルマン人艦長のフネか。これまでの意趣返しに決別電でも送り付けてきたか。

「——読め」

「はっ。“我等ガ時間ヲ稼グ。機関復旧ヲ急ガレタシ。

 追伸、『ガミラス人』ノ意地ヲ『ガルマン人』ニ見セテミロ”、ですっ!!」

「なっ——」

 絶句したケッテルは反射的に艦橋窓の外を見た。

 

 ファルバーンが大挙放った重擲弾——大型対艦ミサイル——は二十発を越えていた。この誘導弾は、ガルマン星解放戦以来、カーシャ級重投射艦のスペースロック飽和攻撃に悩まされてきたガルマン・ガミラス軍が対抗兵器として開発した新型の大型誘導弾だ。従来の誘導弾より格段に高度な自立型AIを搭載し、カーシャ級の物量に対して“効率”で対抗することが目指されていた。

 発射から間もなく、一斉射された擲弾はまるで意思を持つかのように自身で速度を調整しつつ、五つのグループに分かれた。先頭グループは更に加速を強め、ずんぐりとした弾頭形状に似合わない高速で虚空を突進する。

 一方、宙雷戦隊に向かって放たれたカーシャ級のスペースロックは五十発以上。しかもそれはまだ第一波に過ぎなかった。恐るべき投射火力と言う他ない。

 そして重擲弾第一グループはスペースロック第一波の横合いから切り込むように襲いかかった。

 各擲弾は爆発威力圏が他の擲弾と重複しないよう絶妙な距離に散開しながら、最も多数のスペースロックを破壊可能な最適位置を自ら判断、起爆を開始した。

 その爆発威力はスペースロックのそれを大きく上回り、一発で十発以上のスペースロックを破壊していく。最初の擲弾の起爆から僅か十数秒でスペースロック第一波はことごとく殲滅された。

「スペースロック群が消滅!」

 オペレータの報告を裏付けるように、ケーニキルスの艦橋からも、夥しい数の閃光が休むことなく明滅している様が見て取れた。

「すげぇ・・・・・・全弾を阻止したってのか」

 爆発光の残滓に視線を釘付けにされた艦橋要員がそう呟いた。

 スペースロックは威力もさることながら、弾頭強度が極めて高く、撃破も容易ではないことでも知られている。そのクルーは、過去の戦闘でカーシャ級の瞬間的火力の凄まじさと強靭さを経験しているのだろう。

 しかし——

「見物している場合か!すぐに第二波がくるぞ!

 艦橋要員も機関室と動力室に回れ!復旧を急ぐんだ!!」

 真っ先に我に返ったケッテルが叫んだ。その声に弾かれたようにブリッジクルーが次々に艦橋から飛び出していく。

 畜生、ガルマン人め。やってくれるぜ。今のは一つ借りにしといてやる。

 そんな憎まれ口を内心で叩きつつもガミラス人——ガーランド・ケッテル大佐の気分は決して悪くはなかった。

 

 その間にも、スペースロックと重擲弾の応酬は続いている。

 第一波から僅かな時間差を置いて、スペースロックの第二波が早くも飛来しつつあった。しかし、第二波のコースは第一波とは異なっている。第一波が迎撃されたことを感知したスペースロックのAIが飛翔コースを変更したのだ。

 だが、対応の柔軟さでは重擲弾群のAIも負けてはいなかった。スペースロック第二波の軌道を予測した重擲弾第二グループも即座にコースを変更し、今度はスペースロックの正面から殺到した。

 そこからは第一波迎撃の光景の再現だった。重擲弾は散開し、最適なタイミングで起爆、自らよりも遥かに多くのスペースロックを爆発と破片で次々に破壊した。結局、第二波も重擲弾による阻止バリアーを突破することは叶わず、全弾が阻止された。

 しかしそれでもスペースロック群の飛来と重擲弾による迎撃は終わらない。加えて阻止成功を告げる爆発光は徐々にカーシャ級群に近づきつつある。重擲弾の迎撃ペースがスペースロックの発射速度を上回っているのだ。

 そして遂に、即応全弾を撃ち尽くしたカーシャ級と重擲弾の間を遮る存在は皆無となり、最後に残った重擲弾四発がカーシャ級に殺到した。

 

——本国艦隊旗艦「ベムルスカ」艦橋内

「重投射戦隊通信途絶。全艦戦闘不能と思われます」

 敵の新兵器、大型誘導弾によってカーシャ級が全て撃沈か大破——少なくとも戦闘不能の状況に陥ったことは速やかに本国艦隊司令部に伝達された。

「——新兵器を擁していたのは我々だけではなかったか」

 必勝を確信して放たれたスペースロックが完全に封殺されただけでなく、カーシャ級全艦が撃破された衝撃はあまりにも大きく、ベムルスカ艦橋内は水を打ったように静まり返っていた。

 だが、そんな中でもユールフは戦意を曇らせていない。彼だけは、このままガルマン・ガミラス艦隊が無為に殲滅される訳がないと思っていた、いや、そう信じていたからだ。

 参謀の一人にカーシャ級乗員の救助を命じつつ、次なる一手に思いを巡らせていたユールフの思索はしかし、唐突に断ち切られた。

 この戦いで初めて、ベムルスカを被弾の衝撃が貫いたのだ。

「・・・・・・喰らった?」

「損害報告!」

「右舷艦首魚雷発射管損傷!」

「ダメージ・コントール!弾庫の誘爆に注意!」

「隔壁閉鎖、現在消火活動中。艦首ミサイル弾庫内の温度正常。誘爆の恐れはありません」

「長官!前方の敵艦隊主力が前進を再開しています!」

 ベムルスカ艦長以下が被弾後の損害対処に忙殺されている間に、クリヴァが驚いたように叫んだ。

 無理もない。完全に跳躍前進をストップされた筈のガルマン・ガミラス艦隊の主力が再び前進を開始したばかりか、砲撃をベムルスカに集中し、直撃弾まで発生させたのだ。

「長官、本艦をあと300後方に下げます。宜しいですな?

 ——艦長!後退だ!!」

 有無を言わせぬ口調でクリヴァが告げた。続けて艦長に後退機動を命じる。

 その間、ユールフは何も言わない。旗艦とはいえ、単艦の戦術機動に艦隊指揮官が口を出すことは百害あって一利なしだと思っている。

 それよりも今は、敵艦隊の戦術意図に最大限の注意を払うべきだ。

「そうか」

 敵艦隊の任務は前路哨戒と後続する本隊の安全確保。ならば、この場で採り得る最善の手段は——。

 数秒間の熟考の後、ユールフは一つ頷いた。

「そうだ、確かに貴様らにはもはやそれしかないのだ。

 ——よかろう。受けて立ってやる」

 

——第二四重空間機甲師団 旗艦「ヴァイヘルム」艦橋内

「敵旗艦、後方に下がります。他艦は前進!!」

「砲術参謀、砲術科にただ今の砲撃見事なりと伝えてくれ」

「はっ!」

 ヴァイゼンは明確な意思を以って、敵旗艦に砲撃を集中していた。どうやら敵の指揮官もこちらの意図に気づき——しかもそれに乗ってくれるらしい。

「ありがたい。敵将は話の分かる人物のようだな」

 宙雷戦隊が窮地に陥って以降、厳しい表情を崩さなかったヴァイゼンが初めて頬を緩めた。

 しかし師団の劣勢、いや敗勢はもはや覆うべくもない。既に彼我の火力密度は二倍どころか三倍以上に開いている。だが彼は、一歩たりとて退くつもりはない。

「師団長、ケッテル大佐より緊急通信です」

「繋げ」

 ヴァイヘルム艦橋のメインパネルにケッテル大佐の姿が映し出された。未だエネルギー供給が安定しないのだろう。映像も音声も酷いものだった。

『師団長、我等にかまわず、直ちに退却して下さい!我が隊が援護します』

「ガーラルド、援護が必要なのは我々ではなく、貴隊の方だ。復旧状況はどうだ?」

『はっ、本艦を含めた四隻が、間もなく機関と動力供給を復旧できる見込みです。しかし他艦は・・・・・・』

「分った。復旧見込みのない他艦は全て放棄、乗員は機関が復旧した四艦に移乗させよ。

 移乗完了後、貴隊は直ちに本宙域を離脱、総統親衛艦隊に合流するのだ」

 ケッテルは束の間絶句したものの、次の瞬間、猛烈な勢いで反駁した。

『――っ!?そのような命令は承服できません!!

 復旧した艦で宙雷突撃を再行します!その隙に、師団本隊を離脱させて下さい」

「馬鹿を言うな。貴隊の突撃をストップした敵の新兵器の正体も不明なままだ。

 僅か四隻で突撃しても、犬死にしかならん」

 モニターの向こうで、今度こそケッテルは押し黙った。少壮ではあるものの、数々の戦場で実戦経験を積んだ戦術指揮官である彼にも分っているのだ、ヴァイゼンの言が完全に正しいことが。

「ガーラルド、聞け。師団は使命を果たすことができなかった。

 しかし我等はなんとしても、総統閣下にボラーの新兵器の存在を報告しなければならん。

 今、我が隊でそれが可能なのは、敵艦隊からノーマークの貴隊しかない」

 その時、どこかに新たな被弾があったのか、ヴァイヘルムの船体が振動した。しかし、ヴァイゼンはモニターに映るケッテルから視線を逸らさない。

『——了解しました』

 遂にケッテルが折れた。ここで意地を張っていたところで、誰も救われないことに気がついたのだ。

『しかし師団長、我が隊の離脱後、本隊も直ちに撤退下さい』

「ああ、もちろんだ。——後で会おう」

 二人は見事な敬礼を交わし合うと、通信を終えた。二人ともそれが叶うとは思っていなかったが、さりとて諦めるつもりもなかった。

「通信士、ファルバーンのフルシュテット艦長を呼び出してくれ」

「はっ。ファルバーン、フルシュテット艦長が出ました」

『ヴァイゼン師団長、先ほどの攻撃は——』

 メインパネルの中で独断専行を謝罪しようとしたフルシュテットをヴァイゼンが制した。

「艦長、先ほどの重擲弾攻撃は見事だった。

 お陰で宙雷戦隊は危地を脱することができた。改めて礼を言う。

 いや、礼などではないな。本来なら、あれは小官が命じなければならなかった事だ。

 貴官とケッテルに謝罪する」

 そう言ってヴァイゼンは頭を下げた。

 だがそれも一瞬だけのこと。むしろ彼にとっての本題はここからだった。

「フルシュテット艦長、貴艦も宙雷戦隊と共に現宙域を離脱してもらいたい」

 この時、ヴァイゼンの頭にあったのは、ガルマン人艦長率いる艦をガミラス人が指揮する艦隊の運命に巻き込んでしまうことに対する懸念だった。

 未だ一枚岩とは言いかねる両民族にとって『ガミラス人がガルマン人を巻き込んだ』と解されかねない状況は、極めて大きな衝撃を与えかねないとヴァイゼンには思えたからだ。

 ならば、懸念は一つでも取り除いておいた方がいい。

 対するフルシュテットの反応は一瞬遅れた。僅かな沈黙の後、彼は一度虚空を見上げて大きく息を吐き出し、がらりと口調を変えて言った。

『まったく、いきなり頭を下げてくれる上官には注意すべきですな。

 師団長、ここまできて、我々だけ仲間外れだなんて勘弁して下さいよ』

 フルシュテットは直截的な物言いのまま続けた。

『それともやはり——我々ガルマン人は仲間に入れていただけんのですか?』

 冗談めかしてはいるが、フルシュテットの声には何かを懇願するような響きがある。

 そのことに気づいたヴァイゼンは、ようやく認識した。

 なんて事だ。何も含むところはないと思っていた俺自身が、最も強くガルマン人を意識していたとは。畜生、このままでは“向こう”で旧友に合せる顔がない。

 遅まきながら自らの不明を恥じたヴァイゼンは、改めてガルマン人艦長を正面から見据えた。そして、歴戦の将官そのものの威厳を込めて言った。

「前言は撤回する。フルシュテット、共に進もうではないか」

 ヴァイゼンの内心で生じた変化を感じ取ったのだろう、ガルマン人艦長もそれに調子を合わせた。背筋を伸ばし、ガミラスで最も規律に厳格な貴族出身士官でも満足するであろう完璧な態度を示しつつ声を張り上げた。

『はっ!戦闘空母ファルバーン乗員一同は、ドムト・ヴァイゼン中将のご命令をお待ちしております!!』

 ヴァイゼンは満足げに頷いた。そして、清々しさすら感じさせる声で命じた。

「ファルバーンを含む主隊全艦に命じる。我らは宙雷戦隊の離脱を援護する。

 交互躍進再開。砲術参謀は射撃統制を維持せよ。砲術参謀、遠慮するな。全力砲撃だ」

 ヴァイヘルムの機関が唸りを上げ、躍進が再開された。他の戦艦、重巡洋艦、そして戦闘空母ファルバーンも後に続く。

 ファルバーンの陽電子カノン砲が新たなビームを放ち、ボラー艦——アルパ型——を射抜く。虚空にまた一つ、閃光の華が咲いた。

 

——アドランテス級戦闘空母「ファルバーン」艦橋内

「砲術、見事だ。お前らなら総統御座艦の砲術士でも務められるぞ。ま、総統に頼まれたって、お前らを手放すつもりはないけどな」

 ヴァイゼンの新たな命令と敵艦の撃沈に、ファルバーン乗員の士気は今や天を衝かんばかりだった。艦長であるフルシュテットはそれを意識しつつ、傍らの副長には声を潜めて言った。

「副長、艦をヴァイヘルムより前に出す。悪いが、覚悟してくれ」

「旗艦を先に沈めさせる訳にはいきませんからね。しかしかなりの覚悟ですな、艦長」

「本艦の前部格納庫は空っぽだ。不活性ガスを注入してスペースドアーマー代わりにする」

「なるほど。それならなんとか」

「最新のデカい艦に乗せてもらってるんだ。待遇分の役割は果たさんとな」

 艦長の言いように副長は苦笑すると、前部格納庫へのガス注入を命じた。

 

——第六四七宙雷戦隊旗艦「ケーニキルス」艦橋内

「司令、本艦の機関出力、62バーゼルまで回復しました。——ジャンプが可能です」

 ケッテルは無言のまま頷くと、艦内マイクを取った。

「司令のケッテルだ。機関復旧に尽力してくれた諸君ら全員に心から礼を述べたい。感謝する。本当によくやってくれた」

 艦内のあちこちで歓声が上がる。ケッテルは更に言葉は続けた。

「しかし、まだ終わりではない。現在、主隊が我々の脱出を援護すべく全力で戦闘中だ。

 我々は機関復旧の叶わない他艦の乗員を収容後、本宙域を急ぎ離脱する。

 皆、疲れていると思うが、引き続き宜しく頼む」

 重苦しかったケーニキルス艦内にようやく活気が蘇った。既に機関復旧を諦めた艦からは退艦作業が開始されており、内火艇や脱出艇が艦の周囲に溢れつつある。

「機関の復旧が完了したのは?」

「“シュニルン”、“グルーエ”、“ハヴィント”の三隻です」

 いずれもクリピテラ級の駆逐艦だ。

「本艦を含めても僅か四隻。これで全員を乗せきれるかどうか・・・・・・」

「絶対に乗せろ。そのためなら備品や装備の破棄、放出も許可する。急げっ!」

 そこから開始されたのは武器を用いない戦いであった。あるいは、武器を用いた戦い以上に困難な戦いだったかもしれない。機関を復旧した旧ガミラス艦四隻は、艦内から撤去可能なありとあらゆる装備を艦外へ投棄することで艦内スペースを確保し、放棄された艦の乗員全ての収容を完了した。

 そしてその直後、四隻の艦が発した小さなワープ光が虚空に弾けた。

 

——第二四重空間機甲師団旗艦「ヴァイヘルム」艦橋内

「ケーニキルス以下、宙雷戦隊残存艦四隻のゲシュタム・ジャンプを確認しました!」

「・・・・・・行ってくれたか」

 その一報がもたらされた時、既に旗艦ヴァイヘルムは限界を超えていた。被弾数は数え切れず、損害報告も追いつかない。しかしそれでも、艦は這うような速度で前進を続けている。 

 そしてまた、ヴァイヘルムが身震いするように振動した。被弾したのではない。満身創痍の彼女が、一門だけ残った主砲を放ったのだ。

 うん、本艦は『戦艦』としての矜持を見事に示しているぞ。

 ガミラス帝国末期に建造が本格化したため、建造隻数が極端に少ないハイゼラード級航宙戦艦。その数少ない生き残りの命運が今、尽きようとしている。しかし、そこに憐憫の想いはない。本艦は戦艦(いくさぶね)として、最後の最後まで火矢を放ち続けている。そしてそれは乗り込んでいる我等も同じこと。守護すべき二つの民族とその統合の証である連合国家のために、フネも、兵たちも皆、本分を尽くしている。

 その事実に満足したヴァイゼンは、小さいが、はっきりと聞き取れる声で言った。

「諸君、ご苦労だった。ありがとう」

 次の瞬間、アルパ型戦列艦の放ったボラー砲が、ヴァイヘルムの艦橋を直撃した。

 

——アドランテス級戦闘空母「ファルバーン」艦橋内

「ヴァイゼン師団長・・・・・・っ!!」

 フルシュテットは、艦橋の消し飛んだヴァイヘルムが態勢を崩し、艦首が持ち上がったところを更に複数の砲火で射抜かれる瞬間をはっきりと見た。

 歴戦の殊勲艦、ヴァイヘルムの最期だった。

「・・・・・・現時刻を以って、本艦は任務を完遂したと判断する。

 さて、ここからが問題だ。副長」

 込み上げてきた激情を無理やり押し殺し、フルシュテットはあえて軽い調子で副長に訊ねた。

「機関出力は既に30バーゼルを切っています。現状でのジャンプはさすがに無理ですね」

 艦長の精神状態を理解している副長も調子を合わせて答えた。

「うん。これだけ喰らって、まだ沈んでいないことをむしろ感謝すべきだな。

 本艦以外の生き残りは?」

「“アンスヴァル”が健在です。データリンクも生きています」

「デストリア級のか?よく生き残ったものだ。死なせるには惜しいな・・・・・・」

 この状況下で、相対的な防御力に劣るデストリア級で生き残るとは。それだけで只者でないことが分かる。

 そんな手練れの艦を、ここで死なせる訳にはいかない。

「通信士、アンスヴァルに通信。“本艦を盾にして跳べ”、だ」

 そして少し間を置いて付け加えた。

「“貴艦と貴艦乗員の武運長久を祈る”、とも」

 それを聞いた副長が肩を震わせた。

「いやはや、この世はなんと劇的なことか。いや、“喜劇的”と言うべきですかね、艦長?」

「そう言ってくれるなよ、副長。ああでも言わなければ、意地っ張りのガミラス人どもは大人しく逃げんのだ。その点では喜劇的だが、“悲劇的”なのは俺も遠慮したいぞ」

「ついでに言えば、“英雄的”なんてのもゴメンです」

「まったくだ。こんな状況でも気が合って助かるよ」

 見渡すと、艦橋内の全員が二人に注目していた。しかし、どの顔にも不思議と悲壮感らしきものはなく、それどころか笑みを浮かべている者すらいる。

 よし、気分転換の軽口はこれで十分だな。

 フルシュテットがマイクを取ると、副長が艦内通信のスイッチを入れた。

「ファルバーン乗員諸君、これまでの諸君らの献身に対し、艦長として心から感謝する。

 誠にご苦労だが、もうひと踏ん張りを頼みたい。

 これから本艦は、最後の友軍艦を逃がすために“盾”となる。

 友軍艦の脱出までは、絶対にこのファルバーンを沈めてはならない」

 フルシュテットはそこで言葉を切った。だが、一度はマイクを口元から離しかけた手が途中で止まった。わずかな逡巡の後、戦闘空母『ファルバーン』艦長サムザー・フルシュテット大佐は再びマイクを口に近づけた。

「みんな、死ぬなよ。ファルバーンが沈んでも、俺たちの戦いは終わらんのだ」

 

 ——ボラー連邦本国艦隊が攻撃停止命令を出したのは、その8分21秒後だった。

 既に本宙域に健在なガルマン・ガミラス艦艇はない。辛うじてワープによる離脱に成功した“五隻”を除く実に二七隻が喪われたのである。

 攻撃停止命令と同時に、本国艦隊司令長官アフロ・ユールフ大将は艦隊に溺者救助の命令を発していた。漂流中の溺者は敵軍所属であっても分け隔てなく救助するよう厳命が下されており、この後、一千名近いガルマン・ガミラス軍将兵が救助されることになる。

 なお、救助されたガルマン・ガミラス軍生存者の最上級者は——“大佐”だった。

 

——エピローグ

ガルマン・ガミラス帝国中枢記録院所蔵

公文書番号:GGE-DSP-GR0001-B2-0247

「総統陣中演説アーカイヴ」512の5より抜粋

諸君、我が忠勇なるガルマン・ガミラス帝国軍兵士たちよ。

 

今、我らに先行し航路啓開にあたっていた前衛艦隊が、ボラー連邦艦隊の待ち伏せ攻撃により全滅した。

歴戦の彼らならば退却することもできた。だが、彼らは退かなかった。なぜか?

 

それは、彼らが知ってしまったからだ。我が艦隊の進路上に、ボラーの艦隊が潜み、しかも未知の新兵器を備えていることを。彼らはその情報を、我に届けることを最優先とした。退却すれば、今度は後続する我々が危地に陥る——それを懸念したのだ。

 

彼らは、我らの盾となった。命を賭して、我らを守ったのだ。その勇気、その忠誠、その覚悟に、私は心からの敬意を表する。

 

彼らの死は無駄ではない。彼らの犠牲は、我らに勝利への道を示した。彼らの魂は、今もこの艦隊に、この艦に、我らの胸の中に、共にある。

 

ボラー連邦よ、ベムラーゼ首相よ、覚悟するがいい。我々は太陽系へと進撃する。貴様たちを打ち砕き、銀河に真の秩序をもたらすために。

 

だが、我らの悲願はそれだけではない。

我らが悲願——ガルマン民族とガミラス民族の完全なる統合。この戦いはその礎を築くための戦いでもあるのだ。

 

かつて我らは分かたれた。そして互いのことも知らぬまま、長い年月が流れた。

だが今、我らは再び共に戦い、共に血を流し、共に未来を築いている。その果てに、二つの民族の真の統一が果たされると固く信じているからだ。

そして前衛艦隊——第二四重空間機甲師団の将兵たちは、その信念を己が命で示してくれた。

 

——諸君、剣を取れ。我と共に。

怒りを、悲しみを、そして己が信じる未来を、剣という名の力に変えよ。

我らは進む。勝利のために。斃れた仲間のために。未来のために。

全艦、太陽系へと進撃せよ。

To be continued —— Next Episode: Battle off the Sun “Great Battle”

 

Hatena Blogさんに引っ越しました。

皆さま、こんにちは。
我が家の地球防衛艦隊です。

goo blogさんのサービス終了に伴い、Hatena Blogさんに引っ越しました。
2011年の開設以来、当ブログは自作二次創作の発表と公式ヤマト作品の紹介・設定考察を行ってきましたが、後者については現在は殆ど行っていません。
また、前者――二次創作についても年に1本公開できるかどうかという程度にまで活動頻度が低下しています。
そうした状況から、引っ越しまでしてブログを継続するかどうか一時は迷いました。
ただ、当ブログでは過去のヤマト系ガレージキットフルスクラッチの作例を多数公開しており、それらの資料的価値は非常に高いと考え、その公開の場としてブログを継続することにしました。
とはいえ、更新頻度は相変わらずの(超)低空飛行になりますので、思い出した際にでも覗いていただけましたら幸いです。
更新の際には、X(旧Twitter)のアカウントでもお報せします。

あと、注意点を一つ。
本ブログの記事内には、ブログ内の別記事にリンクを張っている箇所がありますが、『第二次火星沖海戦』系のページ以外は、旧アドレス(goo blog)のままとなっています
ご不便をおかけしますが、何卒ご容赦下さい(ボチボチ修正していこうと思っています)。

ではでは、今後とも細く長く宜しくお願い申し上げますm(__)m

2025年10月26日 我が家の地球防衛艦隊

コスモハウンドの二号艇以降の建造は?



さてさて皆さまこんにちは。
3199第3章も好評の内に上映を終了し、第4章のプロモーションが早くも始まっているようですね。
先日3章の最終上映を観ました際、リメイク世界のコスモハウンドって、各章でしっかりと見せ場が作られているなぁと改めて思いました。
特に、2205以降で土門ら若手同期たちが力を合わせる舞台――象徴的なメカ――とされているのが印象的ですね。
オリジナル版ヤマトは、「新たなる旅立ち」にしても「Ⅲ」にしても、新人の若手乗員たちをうまく扱うことができず、作品の幅や深みに繋げることができなかった印象があります。
これに対してリメイク版は、新人たちと既に中堅以上に成長した古代たちをうまく絡めることで、両方の成長を見事に描いている気がします。
その舞台装置として、多人数で運用するコスモハウンドはとても使いやすいのかもしれません。
そんなことを思ったこともあり、今日はそのコスモハウンドについて少し書いてみることにしました。



公式HPやホビージャパンWebの『宇宙戦艦ヤマト メカニクス』第3回記事によると、3199で活躍しているコスモハウンドは、2205で初登場した艇――初号艇――とのことです。
イスカンダル事変では、組立完了からいきなり実戦投入されたということもあり、事変後は試験艇として各種のデータ取りが行われたそうです。
その後、アスカの艦載艇として改めて配備されたとのことですが、公式HPのメカ名表記を見る限り、未だ「試製」の二文字は取れていないようですね(ちなみに、試製の二文字が取れていないのは、コスモパイソンも同様)。



ここで気になったのは、今後コスモハウンドが地球連邦防衛軍の正式兵器として量産されるのかという点です。
しかし、アスカからヤマトへと移されたコスモハウンドはあくまで「試験艇」であり、正式採用型は別設計の艇なり艦なりが用意される可能性もあるので、「地球製の次元潜航兵器は今後量産されるのか?」と言い換えてもいいかもしれません。

思えば2202の都市帝国(滅びの方舟)上陸戦にしても2205のイスカンダル王族救出戦にしても、次元潜航技術は戦術レベルに留まらない戦略レベルで決定的な役割を果たすことになりました。
鉄壁の防御を誇る不可侵領域に、最小戦力(精鋭)を隠密裏に送り込み、任務を完遂させる――それは、大威力兵器を真っ向からぶつける波動砲艦隊構想とは真逆の思想であり、「身の丈に合った軍備の最適化(スマート化)」を目指す2205以降の地球の方針に合致していると言えなくもありません。
ただ、今後地球が次元潜航技術を戦略領域にまで拡大して活用するためには、2202や2205でガミラスの次元潜航艦隊が実施した、次元潜航艦複数を連動して他艦――非次元潜航艦――を潜航させる技術の有無が非常に重要になってくると思います。
便宜上、本記事ではこの特殊な潜航技術を「エリア潜航」と称しますが、これが叶えば作戦の柔軟性が飛躍的に向上するのは自明でしょう。
2202終盤で都市帝国に殴りこんだのが次元潜航艦隊だけだったら、とても玉座までは辿り着けなかったであろうことは容易に想像がつきますし。



いざという時、「敵の本拠地(本星や首都星)に決定的戦力を隠密裏に送り込める」という事実は、波動砲艦隊という絶対的な切り札を放棄した地球にとって、有力な代替案の一つとなりえます。
それを思えば、既に増加試作の形ででも、複数のコスモハウンドが新規建造されていてもおかしくないと思うのですが、残念ながら今のところは各種設定資料を見てもそんな気配はありません(もちろん、単に書かれていないだけという可能性もありますが)。

では逆に、もし追加建造が行われていないとしたら、その理由はなんだろうと少し妄想してみることにしました。

1)予算的問題
特殊な機関や構造を採用し、ガミラスですら次元潜航艦は少数しか建造されていないことからも、次元潜航艦(艇)は建造費が非常に高額なのかもしれません。
ただ、UX-01に関する設定資料では「研究開発費が高額」という記載はあったものの、建造費用が高額という記載は見つかりませんでした。
あるいは、新規建造の度にガミラスへ支払うライセンス料が高額ということも考えられます。
何にせよ、お金(予算)が足りず多数の艦(艇)を建造できていないというのは可能性の一つとしてあり得ると思います。

2)技術的問題
次元境界面を超える(次元潜航する)際に用いられるのは「多次元位相バラストタンク(次元潜航装置)」とされています。
「タンク」というからには、やはり容量があるのでしょうし、あるいはそれが次元潜航時間にもこの容量が影響しているのかもしれません。
先に述べました「エリア潜航」を行う場合、通常は艦の周りだけという最小範囲に形成する次元境界面を非常に大きく作る必要があります。
一隻分の次元位相バラストタンクでは能力が足りず、複数艦でタンク容量を稼ぐなり、位相エネルギーを増幅・共振し合うような効果で広大な次元境界面を作るのでしょう。
ただ、コスモハウンドはサイズがUX-01の1/3以下であり(容積でいえば三乗根で1/10近い)のため、バラストタンク容量なり位相エネルギー量なり出力なりが足りないのかもしれません。
その場合は、エリア潜航を実現するにはより大型の次元潜航艇か艦を建造する必要があるため(連動潜航する艇の数を増やすという手もあるかも)、コスモハウンドは技術検証と運用データ採取のみに留め、追加建造は見合わせられるかもしれませんね。



3)軍事的問題
2205では、これまで不敗を誇ったガミラスの次元潜航艦が初めて一敗地に塗れました(ゴルバに捕獲され、破壊された)。
この事実をどのように受け入れるべきでしょう?
端的に言えば、少なくともデザリアムに対しては、次元潜航は絶対的優位を獲得できない(全く無力ではないにしても)ということでしょうか。
しかし、ガミラス(ガルマン・ガミラス)は『ゼランダル級攻撃型次元潜航艦』という新型艦を建造しました。
ゼランダルは全長以外のスペックが未開示のため、何らかの対ゴルバ兵器(装備)が搭載されているかは不明ですが、おそらく今のところは未搭載なんじゃないかと思っています。
ゴルバとの交戦機会が少なすぎて、対抗兵器を開発するにしてもデータが乏しすぎると感じるからです。
その点、ゼランダル級はボラー連邦を主敵としていると見るのが妥当ではないでしょうか。
特に、ボラーに対しては次元潜航が未だ絶対的優位を獲得できる状況なら、少なくともガルマン・ガミラス本星(聖都ルダ)の安全が一定程度確保されるまではボラー重視の軍事力整備が進められる気がします(もちろん総統は「屈辱を忘れない男」なので、デザリアムをタコ殴りにする準備も着々と進めていると思いますがw)。



一方の地球ですが、ガミラスとは異なり未だボラーとは直接交戦状態には陥っていないようです(11番惑星沖でのボラーの領域侵犯に対する対応を見る限り)。
更に、イスカンダル事変時に回収されたゴルバ内の映像データ等の情報もあり、ガミラスとは逆に地球はデザリアムの脅威度をより高く評価している気がします。
ただその場合は、次元潜航がデザリアムに対して絶対的優位を持てないことからコスモハウンドの増備にブレーキをかける――とまでは行かなくても、優先順位は下げることになりそうです。
ただ、将来的にデザリアムの脅威が消滅し、ボラーの脅威度が高まる場合には再度優先順位が組み替えられる(上昇する)可能性もある気がします。
また、地球サイドでのもう一つの可能性として、デザリアムに内通している勢力の干渉というブレーキもあるかもしれません。
イスカンダル事変でのゴルバ喪失の一端が地球製次元潜航艇にあるとデザリアムが把握していた場合、デザリアム側はコスモハウンドに一応の脅威度を与えるかもしれませんので。
この場合、地球の内通勢力を通じてハウンドの増備を政治的に妨害する可能性もありますね。

4)外交的問題
最後は、「敵の首都星にこっそり忍び寄って星ごと破壊することすら可能な技術の保有」に対し、諸外国の反応を気にしたという可能性でしょうか。
現在の兵器で言えば、どこからでも戦略核ミサイルを発射可能な上に隠密性の高い戦略ミサイル原潜とか、移動式発射台に据えた核搭載中距離弾道ミサイル保有するみたいなものですから。
下手をすると、2205以降の地球が喧伝している「平和国家」の印象を全面的に裏切ることになりかねませんし。



色々と妄想に花を咲かせましたが、とりあえず3199ではコスモハウンドが多数増備されることはなさそうな気がします(特に根拠がある訳でもありませんが)
ただ、デザリアム戦役後、ボラーに対して次元潜航技術の保有が地球に戦術的・戦略的優位を与えるような状況が続くのであれば、コスモハウンドやその発展型が地球でも追加整備(配備)されるかもしれません。
その場合には、ガミラスの力を借りずとも、地球の次元潜航艦群だけでヤマトなりアリゾナなりを次元潜航させ、敵の本拠地(要塞)に送り込むことすら可能になるかもしれませんね。
なんかそんな光景を想像してしまいました。
ではまた。

〇記事内の模型
・コスモハウンド:1/144&1/1000 SOY-YA!!製ガレージキット
・コスモパイソン:1/144 J-Facrtory製ガレージキット
・ドルシーラ:バンダイ製ボーナスメカコレ
・UX-01:1/1000 バンダイ製キット
・ヤマト:1/1000 バンダイ製キット(3199版)

「ヤマトよ永遠に REBEL3199」のアリゾナはなぜ日本にいたのか?(ネタバレあり)



みなさま、お久しぶりでございます。
「ヤマトよ永遠に REBEL3199」第三章はもうご覧になられましたでしょうか?
劇場公開開始から1週間が経過しましたので、今日は2199以来の当ブログのルールに則り、ネタバレ込みで少し書いてみようと思います。

取り上げるのはもちろん、満を持して登場した「アリゾナ」ですね。
オリジナルデザインは2199で総監督を務められた出渕さんの手によるもので、北米管区が建造した「護衛戦艦」として「宇宙戦艦ヤマトⅢ」に登場しました。
3月末まで都内で公開されていた「宇宙戦艦ヤマト 全記録展」でも、オリジナル版の原画が展示されていたそうです。
ヤマトとアンドロメダと主力戦艦のカッコいい成分を抽出して「3」で割ったような絶妙なバランスのデザインで、オリジナル版の後期ヤマトシリーズでは屈指の人気艦かと思います。
しかしその一方で、劇中での登場はわずか数カット、しかも活躍シーン皆無のまま撃沈されるという悲運に見舞われました。
正直、劇中で果たした役割とデザイン的な人気がここまで乖離しているメカも珍しいですね。

さて、オリジナル版では「護衛戦艦」というカテゴリーだったアリゾナですが、3199ではシンプルに「宇宙戦艦」という艦種類別になりました。
2205以降のアンドロメダ級も同じ扱いを受けていますので、このあたりの統一感は好感が持てます。



3199版アリゾナは、ガミラス戦争末期に建造中だった移民船という出自がヤマトと共通しており、ヤマト型のそれを更に進化させた内殻・外殻の構造(モジュール化構造)が特徴のようで、これはこれで妄想のし甲斐がありますが、本日はこの点については触れません(笑)
取り上げるのは、「国連主導により各行政管区で進められた移民船」という方ですね。

ガミラス戦争時代には、国連宇宙軍の標準艦である「AU艦」をベースとした宇宙艦艇が世界中で建造されているので、各国の装備規格はもちろん、工業規格までかなり統一されていると考えられます(それでもセンチとインチはそれぞれ生き残っているようですが)。
そんな環境下では、各国で極端な技術的優劣は生じにくく、当時製造可能な従来型主機/エンジンのサイズ(質量)出力比もあまり変わらないと思います。
エンジンの技術レベルが同等で、求める「攻撃力」「防御力」「機動力」「居住性(移民船なので)」のバランスも同じようなものであれば、おのずと艦の規模は決まってきます。
言い換えれば、各国の移民船の規模には極端な違いは生じないということです。
差が生じるとすれば、むしろ工業力(建造ドックの規模)に起因する場合でしょうか。
とはいえ、やはり一定以上の国力を有する先進国においては差は生じにくいでしょう。
結果、北米管区であれ極東管区であれ欧州(EU)管区であれ、建造されていた移民船の規模はヤマト程度――300~350メートルくらい――になるんじゃないかと思います。
そしてこの時、武装に割り当てるリソースがヤマトと同程度であれば、搭載砲の規模もやはり同程度になるのは必然です。



建造中にイスカンダル由来の波動エンジンを搭載することになったヤマトは、当時の地球の決戦兵器である陽電子衝撃砲(ショックカノン)を主/副砲として15門も搭載しました。
従来型主機の宇宙戦艦では陽電子衝撃砲は軸線砲として単装装備が精々だったことを思えば、波動エンジン搭載前のヤマトの搭載砲は、艦首にのみ軸線砲式の陽電子衝撃砲、主砲は金剛型より出力・口径をアップした高圧増幅光線砲くらいだったかもしれません。
そして、そうした武装構成はおそらく移民船時代のアリゾナも同様だったと思いますが、逆に言えば波動エンジンを搭載すればヤマトと同等の火力を持たせることは容易でしょう。

第三章パンフレットよると、アリゾナの主砲は「陽電子衝撃砲」であり、2202時代に広く採用された「収束圧縮型衝撃波砲」ではありませんでした。
実際、主砲発射時のSEもヤマトのショックカノンのそれと同じだったと思います。
今のところ非軸線砲型且つ砲身式の陽電子衝撃砲を装備しているのはヤマト型のみであることと、先に述べた艦の規模を考え合せると、アリゾナにはヤマトと同口径の主砲(48サンチ陽電子衝撃砲)が搭載されている可能性が高いと考えます。
砲塔も砲身もヤマトとは形が違うじゃないか!というお叱りを受けそうですが、そこはデザイン的な都合ということでご容赦下さい(おい)
冗談はさておき、デザイン的な点で言えば、アリゾナの砲身基部の形状はヤマトのそれに酷似しており、アンドロメダ級やドレッドノート級の主砲デザインとも明らかに異なります。



それらを考え合わせてアリゾナの主砲は

1)口径はヤマトと同じ48サンチ
2)砲身には陽電子収束器を設置(収束率向上)
3)砲塔にはコンデンサー設置(発射速度向上)※砲塔側面の張り出し?
4)実体弾の給弾システムや弾薬庫はヤマト型と同型
 (ヤマト型の三式融合弾等の実体弾をそのまま使用可能)

そんな特長を持っているんじゃないかと。
つまり、ヤマトの陽電子衝撃砲と、A級/D級の収束圧縮型の特徴を兼ね備えた(良いとこ取りした)新型砲なのではと思ったりしています。
そしてこの開発と製造が、ヤマトの48サンチ陽電子衝撃砲の製造実績を持つ南部重工に発注されたため、アリゾナはわざわざ日本の南部重工のドックで最終艤装を受けることになったんじゃないでしょうか――というのがこの妄想の結論です。
もちろん、アメリカのメーカでも同じ主砲を作ろうと思えば作れるでしょうけど、既存の図面や製造インフラを流用できる南部重工に対してコストや納期で不利になるでしょうし、何よりヤマト用・銀河用で築いた南部重工の実績は大きすぎます。
尚、三章のパンフレットでは、加藤直之さんが建造ドック内のアリゾナのバックショットを描かれています。
ちょうど、舷側砲(副砲?)がバーベットごと設置されようとしているシーンで、南部重工は主砲だけでなく舷側砲も合わせて受注したということなのでしょう。



そして、この妄想が正解なら、もう一つ二つ別の妄想も浮かんできます。
ガミラス戦争時の移民船を出自とする艦はヤマトとアリゾナだけではなさそうです。
公式HPのアリゾナの紹介文には「建造を再開された艦のひとつ」とあるので、建造再開された艦は他にもあるのでしょう。
その内の一隻は、資料集にアリゾナと同じく名前が出てきたプリンス・オブ・ウェールズかもしれませんし、あるいは名前が載っていないビスマルクやノーウィックも存在しているのかもしれません。
それらの艦が、アリゾナ同様ヤマトと同規模の艦なのであれば、主砲にはやはり48サンチ陽電子衝撃砲が装備される可能性があり、もしそうなら、その艤装のために極東(南部重工)に回航されることもあったかもしれませんね。
個人的には、連装48サンチ主砲四基を搭載したPOW級がぜひ見てみたいです。



そしてもう一つの妄想。
アリゾナが極東管区(日本)に回航されたタイミングに、デザリアムの地球侵攻がなかったり、もっと侵攻遅かったりした場合には、アリゾナイカルス天文台内のヤマトで開発された波動カートリッジ弾の実用試験の役割を担うなんてこともあったかもしれません。
ヤマトは岩塊内に秘匿されていますので、砲弾と波動コアの同調を確認する起爆実験は行えても、主砲発射まで伴う実用試験に供することはできないでしょうから。
本来なら、その役割には同型艦「銀河」が最適なのですが、ご承知のとおり、銀河はCRSの影響で攻撃兵装を使用できないため、ピンチヒッターが必要です。
そして、アリゾナが上で妄想したとおりヤマトと同型の主砲と給弾システムを搭載しているならば、実用試験の役割も容易に担うことができます。
もちろん、アンドロメダ級も実体弾の発射システムを有しているので、A級を使用することもできるのですが、ヤマトとは主砲の口径が異なるので、ヤマト用とは別に弾頭を新規製造しなければならない点がネックですね。
少なくとも実用試験段階では同じ口径の主砲を使える艦があるのなら、その方がベターでしょう。



そして、もしアリゾナで波動カートリッジ弾の実用試験を行う場合、波動コアをどうするのかという問題があります。
ヤマトのイスカンダル純正オリジナル波動コアの代わりにビーメラで回収したオリジナルコアを使用するのか、地球製造の量産コア(コピーコア)を用いるのか、ですね。
どちらもテストが必要であり、技術の確立という点で真っ先に試験すべきは前者ですが、対デザリアム戦略的には後者の方が遥かに重要になってきます。
今のところ、波動カートリッジ弾をヤマト以外が使用できるのかは明らかになっていませんが、波動カートリッジの原理を見る限り、基本的には使用できる気がします。
問題点は二つ、波動カートリッジの起爆に足る共鳴波の効果範囲の違いと、共鳴効果の大小でしょうか。
前者は、オリジナルとコピーコアで共鳴波を及ぼせる範囲が極端に違う場合です。
たとえば、コピーコアでは起爆時の爆発に巻き込まれるくらいの至近距離でしか起爆できなかったりすると、実用兵器として用いることはできません。
そして後者は、そもそもコピーコアでは起爆に足る共鳴効果を得られないという可能性です。
コピーコアでも波動共鳴波を発生させることができるのは、アスカの波動共鳴導波装置が証明していますが、ヤマトとは異なり今のところは専用装置を用いる必要があります。
ただ、前者後者どちらの問題にしても、今後技術開発が進めば、解決はされそうに思います。
カートリッジ側の改良で起爆に足る共鳴波を小さくするとか、波動エンジン側の共鳴波を増幅する技術を開発するとかですね。
増幅についてはまさに波動共鳴導波装置なんですけど、それをもっと小型化・簡易化する感じでしょうか。
ちょっと説明が長くなりましたが、対デザリアム兵器として波動カートリッジ弾は非常に効果的であり、これをヤマト以外の一般艦艇で使用できるかは地球にとって死活的な問題足りえます。
妄想に妄想を重ねた末の仮定ではありますが、もしデザリアムの侵攻がもう少し遅ければ、この極めて重要な試験をアリゾナが担うなんてこともあり得たかもしれません。
ただ、この妄想には欠点があって、それは秘中の秘である波動カートリッジの情報が南部重工上層部を通じてデザリアムに漏れてしまう可能性があることですね。
とはいえ、秘密保持を徹底し過ぎると、今度は開発成功後に実戦部隊へ配備ができないという問題が生じてしまうので、それはそれで難しいところです。



さて、そんなこんなで今日は、3199劇中のアリゾナが日本(極東管区)にいた理由について妄想してみました。
記事中に使用しました画像は、ヒヤリハットさん作のアリゾナ(DO楽DO製ガレージキット)とアンドロメダ(SOY-YA!!製ガレージキット)です。
先日、ヒヤリハットさんやSOY-YA!!さんとご一緒した際に、撮影させていただきました。
アリゾナの第一艦橋はバンダイ製1/500ヤマトから流用されていますが、結果的に3199版アリゾナの設定とデザインにドンピシャリでしたね!

それと、もう一つお知らせがあります。
既にこのページをご覧になっておられる方はお気づきと思いますが、本ブログがお世話になっているgooブログさんが本年11月にサービスを終了されるようです。
その頃には、FGTさんとの合作「太陽沖海戦」を公開する予定ですので、引っ越し先を探し始めました。
とはいえ、ブログサービス自体が既に斜陽の状況ですので、引っ越し先の決定には少し時間を要しそうです。
引っ越し先が決まり次第、ここで告知しますので、ちょくちょく覗いていただけましたら幸いです。
ではまた。

ランダルミーデ級とAAAアドバンスドステージを妄想してみる。

以前から書きかけていたランダルミーデ級の設定妄想です。
実際に書き上げてみると、多少ボリューム的に物足りない感じだったので、他のアドバンスドステージ艦についても合せて書いてみることにしました。
後半のちょっとした見せ場(戦闘シーン)も含め、もちろん公式設定ではありませんので念のため(笑)
では、共にまいりましょう。



ランダルミーデ級前衛武装宇宙艦
 AAA-009 ランダルミーデ
 AAA-010 ヴェム・ハイデルン
 AAA-011 デルスガドラ
 AAA-012 ゼイラギオン

 ランダルミーデ級をはじめとする所謂「AAAアドバンスドステージ」は、アンドロメダ級初期建造艦(AAA-001~005)が完成した後、実験的に建造された試作艦群である。事実、アドバンスドステージ後に追加建造された十三番艦以降のアンドロメダ級は、運用実績からの小改良こそ行われていたものの初期建造艦とほぼ同等の仕様であり、以降アドバンスドステージが追加建造されることはなかった。
 アドバンスドステージは、ガミラス第八浮遊大陸基地奪還作戦及び第十一番惑星防衛戦を受けて建造計画がスタートした経緯があり、初期建造艦にはない特殊な装備や、建造作業そのものにも検証要素が含まれていたことから、その完成はガトランティス戦役の末期であった。就役時期はA級十三番艦以降や初期建造艦の設計資源を流用した無人艦群(BBB)よりも遅く、この点からアドバンスドステージを「アンドロメダ級後期建造艦群」と称することもある。

 アドバンスドステージは少なくとも三タイプが建造され、試作艦ながら全艦が火星―地球間絶対防衛線を巡る戦いに投入された。これら三タイプの後期建造艦はベース艦こそ共通ながら、それぞれが全く異なるコンセプトで建造されており、特にランダルミーデ級はオリジナル艦の外観的特長から最も乖離した艦として知られている。
 本級の別名は「ガミラスメイド」。異星文明――大ガミラス帝星式の建造技術で建造されたアンドロメダ級であった。本級以前に時間断層工廠ガミラス管理区画内でライセンス生産され、在地球ガミラス軍(在地ガ軍)が運用した空母型アンドロメダがシステム的なインターフェースと一部航空艤装のみガミラス式に改めたのに対し、ランダルミーデ級ではシステム面はもちろん船殻や機関、艤装品に至るまで完全なガミラス規格で建造されている。
 建造にあたっては、地球が独自開発した収束/拡散波動砲ガミラス規格で再現できるかが当初は危ぶまれ、波動砲の代わりに反射衛星砲を搭載することも検討された。しかし、建造コンセプトの点で本級への波動砲装備は絶対要件であったため、ガミラス規格での波動砲開発続行の方針が改めて示されている。
 多少の遅延こそあったものの、本級用の波動砲は無事に完成、更には独自の追加仕様として「偏向」機能まで備えていた。


 本級の波動砲口はフレキシブルに可動する外筒と内筒からなる二重構造を有し(ダブル・ベクタードマズル)、外筒と内筒の間隙に高密度の偏向フィールドを発生させつつ可動させることで、艦の姿勢を変更することなく波動砲のビームを偏向させることが可能であった。
 従来型の固定式砲口でもバウスラスターを用いた艦の姿勢制御によって波動砲発射前であれば射線の変更が可能だが、波動砲発射時には安全上重力アンカーで艦を固定する必要があり、射線と射角の変更はほぼ不可能であった。
 しかし本級は、ベクタードマズルによって従来艦では不可能な射角変更が可能であり、大威力且つ長射程の収束モードにおいて圧倒的な掃射(スイープ)性能を有していた。
 本機能の搭載は第十一番惑星に来襲したガトランティス帝国前衛艦隊の物量と、そこで実行された特殊な戦術に原因があった。第十一番惑星に殺到したガトランティス軍の総数は250万隻超という常軌を逸した戦力であり、その殆どが全長500メートルを超える大型戦艦カラクルム級だった。そして、そんな彼らが採った戦術も異様極まりなかった。
 250万隻のカラクルム級は全長数千キロメートルにも及ぶ長大な円筒型陣形を敷くと、十一番惑星近傍に設置されていた人工太陽をエネルギー源とした超大直径レーザー砲――レギオネル・カノーネ――での地球砲撃を企図したのである。
 本作戦は十一番惑星救援のために急行したBBY-01宇宙戦艦ヤマトの機転で阻止されたものの、ガトランティス軍が今後も同様の作戦を発起した場合への備えが必要と考えられた。
 波動砲艦隊が装備する拡散波動砲は面制圧効果の高い優秀砲であったが、それでも数千キロメートルにも及ぶ重厚な艦列を射抜くには効果範囲が全く不足していた。本課題に対して時間断層AIが導き出した回答こそ、ダブル・ベクタードマズルを用いた収束波動砲のスイープ砲撃だった。強固且つ長大なカラクルム級の縦深を貫くには大威力の収束モードでなくてはならず、更に収束モードのウィークポイントである面制圧効果を最大化するには射線偏向が絶対に必要だったからだ。
 対レギオネル・カノーネ兵器として極めて有効と考えられたベクタード・マズルだが、結果的に他の地球艦艇への装備は見送られた。開発完了がガトランティス戦役末期であったことに加え、当時の時間断層工廠は一隻でも多くの波動砲搭載艦艇を前線に送り出すべく限界を超えたフル稼働を続けており、そんな中での波動砲システムの変更は工程の混乱と製造効率の低下をもたらすとして不採用とされたのである。また、ガトランティス戦役後にも新規建造艦へのベクタード・マズル搭載が再び議論されたが、今度は平和主義を標榜する戦後の地球の外交方針が足を引っ張り、「過剰装備」としてまたしても不採用とされている。


 その特異な外観と可動式波動砲口に注目されることの多い本級であるが、開発と建造にあたっては固有のプロジェクトネーム――「L計画」――が与えられていた。
 L計画と対をなす計画として、ヤマト型三番艦「銀河」が任を務めた「G計画」がある。G計画とは、“GENE”の頭文字が意味するとおり、ガトランティス帝国侵攻により人類が滅亡した場合に備えて地球人の遺伝子を保存する「種の保存計画」であった。本計画のルーツがガミラス戦役時の「イズモ計画」であったことはあまりにも有名だが、ランダルミーデ級に与えられた「L計画」にはひな型となる計画は存在しない。
 L計画の「L」は“LIBERATION”の頭文字とされており、ガトランティスによる占領後の地球奪還と解放を企図した計画だった。
 G計画とL計画の並立は、ガトランティス軍による第十一番惑星への大規模侵攻が、地球人類に種の保存と地球の被占領を覚悟させるほどの衝撃を与えた証左だったと言えるだろう。

 ガミラス戦役時の地球は、母星を逃れても抗戦を継続可能な後背地や有力な同盟国を持たず、地球の喪失はすなわち地球人類の滅亡と同意だった。しかし、2203年の地球には大ガミラス帝星という大・小マゼラン銀河の雄が同盟国として存在しており、地球喪失後はガミラス領域へ逃れて徹底抗戦を継続することも現実的な選択肢となっていたのである。
 そこには、ガトランティス帝国が全人型知的生命体の根絶を国家テーゼとしている以上、ガミラスが対ガトランティス戦争を継続することは確実であるという判断と共に、戦争を継続せざるを得ないガミラスにとって、波動砲搭載艦艇の建造技術を有し、波動砲の使用に対しても全く忌避感を持たない地球人は非常に使い出のある存在となりえるという読みもあった。
 しかし、いくら波動砲搭載艦艇を建造可能な技術を持ち、その運用ノウハウを有するとしても、時間断層と共に地球が喪われれば、艦艇を実際に建造する工業能力を失ってしまう。よしんば、逃れた先のガミラスで工廠惑星などを譲渡されたとしても、そこにあるのは全てガミラス規格に基づくガミラス式の工業設備であり、地球規格で設計されたアンドロメダ級やドレッドノート級をそのまま直ちに建造できる訳ではなかった。
 しかし、地球からの全面撤退に際しては、彼らが心血を注いで整備した波動砲艦隊の大半が喪われているのは確実である以上、波動砲艦隊の再建はできるだけ短期間で行わなければならなかった。もちろん、時間断層にはもはや期待できない。それでも、一隻でも多くの波動砲搭載艦を新たに確保するために、通常空間で建造期間と建造コストを最小化する必要があった。


 すなわち、ランダルミーデ級の本質はガミラス領域内のガミラス式工業設備で急速建造可能なアンドロメダ級の確立に他ならなかった(その点で言えば、先に述べた偏向式波動砲の開発は副次的な目的に過ぎない)。
 本級は、大は砲熕兵器から小は装甲材質の分子的組成に至るまで徹底的に既存のガミラス規格に基づいて設計されており、設計データさえインプットすれば無改造のガミラス式工廠で直ちに建造が可能だった。
 本級はアドバンスドステージ中最多の四隻が若干の時間差をつけて建造開始され、量産性と効率検証のためにそれぞれが異なる建造方法と工程順序で建造されている。このため、内部構造において四隻には多少の違いがあったが、外観やスペックの差は殆どない。但し、先行して建造される前番艦のデータが得られる分、後番艦ほど艦としての完成度は高かったと推測される。
 ランダルミーデ級は短期間の公試と実戦においてオリジナルのアンドロメダ級と同等の性能を示した。更に、ガミラス工廠惑星での建造を想定したシミュレーションにおいては、オリジナルを建造する場合に比して工期は1/2、建造費は艤装品の大半が既にガミラスで大量生産されているものを流用できたことから2/3にまで低減可能という結果が得られた(加えて、オリジナルのアンドロメダ級をガミラスの工業惑星で建造するには、建造設備自体にも大規模な改造が必要だった)。
 幸いにも、ガトランティスによる地球占領という最悪の状況――本級が真価を発揮したであろう状況――は遂に発生せず、本級の建造は試験建造艦四隻のみで打ち切られたが、ガトランティス戦役後も唯一残存した四番艦(一から三番艦は戦没)と本級の設計データが戦後ガミラスに譲渡されている。
 なお、本級の建造はガミラス側の了承を得ずに実行されており、更に主砲には当時は未だ存在が秘匿されていたデウスーラⅡ世級のものが流用されているなど、ガミラスにとって本級は目を疑うような存在であった。戦役中、地球に対して様々な外交的・軍事的便宜を図ったローレン・バレル大使も本級の存在が初めて伝えられた際には不快感を隠さず、時間断層工廠の実質的な管理責任者だった芹沢統括司令副長官に遺憾の意を示したとされる。
 そうした経緯もあり、設計データの提供を受けたガミラスにおいて本級が新規建造されることはなく、それどころか譲渡された四番艦を含め存在自体が半ば無視された状態に置かれた。
 しかし――そうした状況も長くは続かなかった。
 2205年から開始されたガルマン独立戦争において、ガミラス軍は思わぬ苦戦を強いられた。本星を喪った上に大・小マゼランの広大な領域からの移民作業を並行して行っているガミラス軍は正面戦力が著しく不足しており、物量戦を旨とするボラー連邦軍に押しまくられる局面が度々発生していたからだ。
 そんなガミラス軍において、圧倒的戦力を誇ったガトランティス軍を長期に渡って押し留めた拡散波動砲が再評価されたのは半ば必然だった。急ぎ装備化が模索され、今すぐにでも建造が可能なランダルミーデ級にも注目が集まったが、最終的にガミラス軍が選択したのは彼女ではなかった。
 より建造が容易な「ドレッドノートガミラスメイド」が選択されたのである。

 波動砲艦隊構想の真の主力がドレッドノート級であった以上、ガミラス領域での波動砲艦隊再建計画であるL計画においても「D級ガミラスメイド」は不可欠の存在だった。
 D級ガミラスメイドはランダルミーデ級と同時期に時間断層内で設計を終え、ランダルミーデ級と共に設計データもガミラスに引き渡されていた。ガトランティス戦役中、地球での試験建造こそ行われなかったものの、より高度且つ建造難易度も高いランダルミーデ級の建造に成功した以上、D級ガミラスメイドの建造に対する技術的な不安点は既に皆無だった。
 2205年以降ガミラスが建造したのは、このD級ガミラスメイドをタイプシップとした艦で、波動砲ではなく収束率可変機能が付与された改良型デスラー砲を装備し、圧倒的多数のボラー艦隊に対する決戦戦力として多大な戦果を収めることになる。そんな彼女たちをガミラス軍将兵は「デスラー砲艦」と呼んだが、そのルーツがガトランティス戦役時に開発された地球艦であったことは殆ど知られていない。

 最後に、システムインターフェースをガミラス式に改められた上でガミラスに引き渡されたランダルミーデ級四番艦「ゼイラギオン」だが、引き渡し直後の冷遇期以降は実戦配備が行われた。しかし、同型艦が存在しないこともあって運用コストが他艦よりも高く、度々予備艦指定を受けている。とはいえ、アンドロメダ級譲りの攻防性能の高さと、何より連装デスラー砲(デスラー砲艦配備後に波動砲から換装)の圧倒的威力は対ボラー戦においても重宝され、ガミラス軍の決戦戦力「空間機甲軍」の一角として長期に渡り君臨することになる。



アクエリアス級前衛武装宇宙艦
 AAA-007 ラボラトリー・アクエリアス
 AAA-008 アクエリアス

 G計画の中核艦「銀河」の随伴艦として建造された。そのため、本級の仕様と性能は銀河の支援を第一義として計画されている。
 銀河がコスモリバースシステム(CRS)の影響により攻撃兵装が一切使用できなかったため、護衛戦力としての随伴艦が必要であったのはもちろんだが、銀河より前方へ進出し航路の安全確保にあたる前路啓開や、指揮AIを並列化することでの演算能力向上、波動防壁強化など、求めれた任務は多岐にわたる。
 本級には銀河と同型の指揮AIが搭載されており、超空間通信技術を利用したデータリンクを介して銀河AIとのリアルタイム接続が可能であった。これは、G計画実行後、時間断層AIとの接続が絶たれて以降の銀河指揮AI単独での演算能力に不安が抱かれた為で、本級二隻の同型指揮AIを並列接続することで演算能力の飛躍的向上が図られたのである。


 また、本級固有の装備として、CRSを地球独自にコピーしたシステムが搭載された。しかし、あまりに高度なイスカンダルの技術で作り上げられたCRSの解析は困難を極め、その実態はリバースエンジニアリングと呼ぶにも値しなかったとされる。
 当然、コピー(疑似)システムにオリジナルが持つ惑星環境再現性能など望むべくもなく、限定的な波動エネルギーの遠隔制御機能がその能力の全てであった。とはいえ、近距離であれば他艦の次元波動エンジンを賦活化させることができる能力は、銀河の護衛艦として考えた場合、極めて有用だった。元より強力な銀河の波動防壁を更に強化することはもちろん、銀河の波動エンジンを賦活化することで防壁展開可能時間を数倍化することができたからだ。
 本級にはA級前期建造艦群と同型の波動砲搭載も検討されたが、銀河の生存性向上には攻撃力よりも防御力の強化が効果的であるとして、本級二隻ともにCRSのコピーシステムが搭載された。
 この“疑似”CRSシステムの改良は本級完成後も継続され、後にアスカ級補給母艦に「波動共鳴導波装置」として装備されることになる。


 本級二隻の運用だが、ラボラトリー・アクエリアスが前路哨戒を担う前衛、アクエリアスは銀河の近傍で直衛にあたるとされた。波動砲こそ装備していないものの、ショックカノンなどそれ以外の兵装はほぼオリジナルのままであり、両艦には、CRS装備の影響で通常武装が使用できない銀河をアンドロメダ級譲りの空間戦闘能力で死守することも求められた。

 2203年5月のガトランティス帝国本星軍の太陽系侵攻開始直後、G計画の予備命令(準備命令)が発令される。この時、計画中核艦である銀河は在地ガ軍との混成艦隊旗艦として木星圏で待機中だった。銀河は引き続き混成艦隊旗艦としての任に就くものの、ラボラトリー・アクエリアスはいち早く出撃、銀河に先行しての航路策定と前路哨戒を開始した。
 その後、土星沖から火星沖へと連戦を重ねた地球及びガミラス連合艦隊の損耗率は上昇に上昇を重ね、それが遂に50%を超えたことでトリガー条項が発動、G計画が防衛軍司令部より正式発令される。だが、計画発令直後に発生した銀河指揮AIの損壊とCRS損傷により、G計画は無期限延期となってしまった。
 本経緯については未だ防秘扱いの事項が多く詳細は不明ながら、結果的にラボラトリー・アクエリアスアクエリアスは実行不可能となったG計画任務を共に解かれている。特に地球沖で待機していたアクエリアスは直ちに白色彗星迎撃戦に投入され、その短い生涯を終えることになる。
 一方、先発していた一番艦ラボラトリー・アクエリアスは、G計画任務解除から程なくして一切の消息を絶ってしまった。ガトランティス戦役後、二度に渡って大規模な捜索活動が実施されたものの、本艦の痕跡はもちろん事故の原因となりえる空間異常や何者かの攻撃を受けた形跡も全く発見できず、捜索終了後に原因不明の亡失として除籍が決定された。
 しかしその17年後の2220年、本艦固有の空間航跡が観測されるという事態が発生し、一時は世間をにぎわせた。銀河中心方面をモニタリングしていたアマチュア観測家が半ば偶然発見した航跡が、空間航路局のデータバンクに登録されているラボラトリー・アクエリアスのそれに酷似しているとして、一時は本艦の生存がささやかれた。しかしその後、発見された航跡は極めて不鮮明であり、類似した他艦の航跡を誤認したと考えられ、ラボラトリー・アクエリアスが生存している可能性はない――とする公式声明を防衛軍が発表するに至った。
 軍の発表によって事態はほぼ鎮静化したものの未だ一部界隈では、生存している本艦が何らかの極秘任務を帯びて銀河中心方面で活動中であるという説も根強い。またそれ以外にも、謎に包まれた最期や本艦と二番艦の艦名が通常の命名基準ではありえないほど似通っていることから、ラボラトリー・アクエリアスの存在自体を疑う声もあるなど、本艦についての議論は未だ絶えることがない。



アマテラス級前衛武装宇宙艦
 AAA-006 アマテラス

 40.6センチ三連装収束圧縮型衝撃波砲塔を実に10基備えた強武装艦であり、アンドロメダ級後期建造艦群の中で唯一単艦で建造された。主砲塔10基の内9基が艦首方向に指向可能な配置を取っており、本級に極めて攻撃的なシルエットを与えている
 その印象は艦首に目を移すと更に強まる。帆船のバウスプリットを連想させる巨大な“角”には通常の五倍密度で波動コイルが設置されており、艦首部に極大強度の波動防壁の形成が可能である。
 これら多数の主砲と強力な波動防壁を両立させるために、本艦の後部の両舷には大型のエネルギーコンデンサーが設置された。ここからの豊富なエネルギー供給によって、圧倒的な主砲投射弾量と、波動防壁の攻撃的使用――波動衝角(通称:波動ラム)――が初めて可能となった。

 本級の建造には、ガミラス第八浮遊大陸基地奪還作戦時に初遭遇したカラクルム級大型戦艦が大きな影響を及ぼしている。
 本作戦におけるカラクルム級は地球防衛艦隊総旗艦アンドロメダの拡散波動砲攻撃に耐えたばかりか、地球艦隊の不用意な艦隊運動の隙を突いて一気に戦線を突破、太陽系へのワープを果たしていた。その際、アンドロメダは突撃してきたカラクルム級に対してショックカノンを命中させていたが、撃破も足止めも叶わず、地球の位置をガトランティス軍に掴まれるという大失態をおかしてしまった。
 しかし、艦の規模で言えばアンドロメダ級すら大きく上回る巨大なカラクルム級を短時間の咄嗟戦闘で行動不能にするのは波動砲を用いない限り困難であることもまた明らかだった。しかし、発射シーケンスが複雑な波動砲を咄嗟戦闘で使用することはできず、何らかの代替手段が模索された。
 その結果として考案されたのがアマテラスが艦首に装備した「波動ラム」であった。その波動防壁は最大戦速で突進してくるカラクルム級の巨躯を真正面から受け止めるばかりか、堅固な艦体を破断可能な強度と指向性を有しており、近接戦闘及び咄嗟戦闘において圧倒的な威力を発揮する。
 この波動ラムに加えて、アンドロメダ級前期建造艦の四倍以上を誇る前方指向火力を用いることで、本級はカラクルム級の突撃戦術への対応のみならず単艦での一撃離脱、あるいは同級艦複数で堅固な敵艦隊艦列に突撃し、これを破砕する破城槌的運用が構想されていた。
 しかし本級の設計完了直後、第十一番惑星に来襲したガトランティス軍のカラクルム級は200万隻を優に超えていることが明らかとなり、本級が想定した単艦や少数艦での突撃戦術では戦場の大勢に影響を及ぼすことはできないこともまた明白となった。
 その結果、全ての建造努力をより量産が容易なA級前期建造艦とD級に集中することになり、本級は後期建造艦群の中では最も早く設計が完了していたにもかかわらず、新装備である波動ラムの試験用として一隻のみ建造が承認された。
 そして、時間断層工廠において本級の完成が近づいた頃、ガトランティス帝国本国軍による太陽系侵攻が始まる。


【絶対防衛線の死闘】
 ガトランティス帝国本国軍は、前面にバルゼー提督麾下の第七機動艦隊を押し立て木星圏に侵攻、迎撃に出た地球艦隊に対して物量に任せた中央突破を図った。これに対し、地球艦隊は機動運用可能な波動砲搭載艦の集中投入によって一度はガトランティス艦隊を退けることに成功する。
 しかし、敗残の艦隊を押し退けるように前進してきた白色彗星は全く別次元の存在だった。500隻以上のA級及びD級が重力子フィールドを用いて放った極大・収束波動砲すら全く通用せず、反撃を受けた地球艦隊主力――波動砲艦隊は壊滅の憂き目を見ることになる。
 木星の防衛戦を突破された地球艦隊であったが、予備戦力として待機していた銀河を旗艦とする臨時艦隊による機動防御と、ワープ阻害フィールドを駆使した遅滞戦闘によって、戦線の再構築と艦隊の再編に辛うじて成功する。
 地球防衛軍が新たな防衛線――絶対防衛線――と設定したのは火星軌道だった。この地を舞台に地球艦隊は、白色彗星及びその内部に存在するガトランティス帝国本拠地「都市帝国」に対し再三にわたり肉薄波動砲攻撃をかけるも、強靭な防御フィールドに阻まれダメージを与えられずにいた。
 しかし、山南提督率いる第一挺身艦隊の旗艦アンドロメダが都市帝国の高重力源への突入に成功、銀河のCRSが生成した波動レンズによって強化された波動砲で高重力源を射抜いた。この攻撃により一時は沈黙したかに見えた都市帝国だったが、古代アケーリアス文明が作り出した「滅びの方舟」は復元力においても常軌を逸していた。僅かな時間で重力源を再生・再起動させると、再び前進の気配を見せ始めたのである。
 地球防衛軍としては、都市帝国が完全な復活を遂げる前に、決定的な打撃を加えたいところであったが、総旗艦アンドロメダを含む波動砲艦隊の多くが喪われ、頼みの銀河もCRSに重大な損害を被るなど、戦力が枯渇しつつあった。
 そんな中、幕僚本部は「最後の作戦」として都市帝国から脱出したヤマトによるトランジット波動砲攻撃を立案、一方、時間断層AIはアンドロメダ級後期建造艦群を用いた肉薄攻撃を提案する。
 幕僚本部案の懸案は、ヤマトの損害が思いのほか大きく、修理に時間を要することであったが、同型艦である銀河から艤装を譲り受けることで修理期間の大幅な短縮が図られた。しかしそれでも、白色彗星が現在の侵攻速度を維持した場合、彗星の地球圏到達に間に合わないことから、AIが提唱した作戦案が支作戦として同時遂行されることになった。
 投入されるのはラボラトリー・アクエリアスを除く六隻のアンドロメダ級後期建造艦群と無人アンドロメダ級艦隊――BBB戦隊――からなる第二挺身艦隊だった。
 艦隊に与えられた任務は、万難を排して都市帝国へ接近、アクエリアスの疑似CRSシステムで強化したアマテラスの「波動ラム」で都市帝国の防御フィールドを突破、そのままアマテラスの波動砲で都市帝国中枢に決定的打撃を加えるというものであった。
 皮肉にも本戦術はガトランティス軍のイーターⅠの波動防壁突破プロセスを分析する中で立案されたものだった。地球艦隊の数百発もの波動砲射撃にすら平然と耐久する都市帝国の防御フィールドは「面」での耐久力が非常に高いが、逆に極めて小さな「点」への穿孔的エネルギー投射には耐圧限界がやや低いと推測され、最大出力の波動ラムによる一点突破であれば浸透突破できる可能性ある――との分析がなされたのである。

 本作戦は白色彗星の火星圏突破直前に実行に移された。
 初手として挺進艦隊前衛――無人アンドロメダ級からなるBBB戦隊――がショートワープで白色彗星内へ突入する。
 そこはガトランティス帝国の本拠地「都市帝国」の門前であり、千隻単位のカラクルム級が文字通り蝟集していた。その只中へ密集隊形で突撃したBBBは僅か五十隻余。しかしBBB群は空間転移でカラクルム級の艦列へ強引に割り込むと、躊躇なく戦闘を開始した。
 彼我両軍が限られた空間に異常なほど集中したため、ワープアウトの瞬間、出会い頭の衝突に至った艦も一隻や二隻ではなかった。加えて、BBB戦隊は全艦がバーサーカー・モード(継戦維持や友軍誤射制限を解除した全攻撃力発揮モード)を選択しており、戦闘開始と同時に、装備する全エネルギー兵器と実体弾兵器を周囲に蠢くカラクルム級群へ一斉に投射する。BBB戦隊のワープアウトから僅か三十秒間で百隻以上のカラクルム級が砕け散った。
 一方、奇襲を受けたガトランティス軍であったが、彼らも戦闘においては躊躇うことを知らない人造戦闘種族だった。命令を待つことなく半ば本能的に反撃の砲火を閃かせたが、それがむしろ混乱を拡大する結果となった。周囲はほぼ全て友軍という状況での応射は必然的に大量の誤射を生み、その損害はBBB戦隊による直接的な損害すら上回ったからだ。
 しかしそれでもカラクルム級は反撃を控えることはない。使用可能な砲を総動員し、砲の指向が間に合わなければ艦の質力と強度そのものを武器としてBBBに突撃する。
 衝突と被弾、轟沈、爆沈、更には誘爆が続出し、白色彗星内――都市帝国の門前という限られた空間に、短時間で沈んだ両軍艦艇から放出されたエネルギーがみるみるうちに充満していく。
 僅かな時間で戦闘宙域全体を覆い尽くした巨大且つ膨大なエネルギーの塊は、各艦のセンサーを飽和させ、一種の煙幕のように電子的な見通し距離を極端に制限した。
 それ故、ガトランティス軍は気づかなかった――BBB戦隊の真の目的がガトランティス軍の混乱を惹起することではなく、「後続」のための本宙域の一時的制圧であることを。

 BBB戦隊が強引に掃討したエリアにピンポイントで飛び込んできたのが第二挺進艦隊の本隊――アンドロメダ級後期建造艦群であった。
 露払い役のランダルミーデを先頭に、その後方にアマテラスとアクエリアスが続き、殿(しんがり)をゼイラギオンが務める単縦陣だ。残るランダルミーデ級のヴェム・ハイデルンとデルスガドラはアマテラスの左右で直衛に就く。
 僅か六隻の挺進艦隊本隊は、無数のカラクルム級を相手に未だ鬼神のような全力戦闘を繰り広げているBBB戦隊を傍らを全力で駆け抜けた。BBBの一隻からレーザー発光通信が飛ぶ。作戦ノ成功ト貴隊ノ生還ヲ祈ル。
 ――畜生、言ってくれるぜ。通信を受け取ったゼイラギオン艦長は遠ざかっていくBBB群の背に敬礼を送った。
 都市帝国へと突進するアンドロメダ後期建造艦群の動きをガトランティス軍はしばらくの間、察知できず、その迎撃は完全に後手に回ることになる。だが、たとえ泥縄式の逐次投入であっても元々の戦力が膨大なだけに、存在を悟られた後の迎撃は熾烈を極めた。
 無数の刺突兵器イーターⅠが挺進艦隊各艦の波動エンジンを貫こうと四方八方から殺到してくる。波動防壁の中和機能を有し、ハードキルでしか阻止できないイーターⅠは前方投影面積も小さく迎撃困難だ。しかし、四隻のランダルミーデ級の艦長たちは自分たちの役割を完璧に心得ていた。ショックカノン、重力子スプレッド、速射魚雷、パルスレーザー、対艦グレネード――あらゆる武装を総動員し、作戦の「本命」であるアマテラスとアクエリアスへの攻撃を絶対に阻止する。
 既に都市帝国まで指呼の距離。ランダルミーデ級と彼女たちにトランス接続したD級群の主砲が吠える。収束圧縮型衝撃波砲の集中豪雨を思わせる速射性能は圧倒的な制圧力で大半のイーターⅠをミドルレンジ以遠で阻止する。インレンジに踏み込むことに成功した僅かなイーターも無事ではいられない。各種誘導弾とパルスレーザーが即座に迎え撃ち、痛撃を与える。
 ガミラスの転送システムが繰り出す至近からの航空奇襲に対抗すべく備えられた即応性の高い防空システムだけに、遠距離からの飛翔体に対しては鉄壁と言えるほどの抗堪性を発揮する。四隻のランダルミーデ級はデータリンクで防空識別情報を共有しつつ、常に最適位置を確保しながら戦闘を継続し、イーターⅠによる槍衾のような迎撃網を突破する。
 そして遂に、アマテラスのフェイズドアレイ・コスモレーダーが都市帝国の防御フィールド展開予想域を射程に捉えた。
 艦首のスタブウィングにずらりと装備された小型ミサイルが一斉に放たれた。高加速するミサイル群の弾頭はセンサーのみの実質的にはセンシングプローブだ。ミサイルは防御フィールドと接触すると同時に砕け散るが、その精密位置がアマテラスにフィードバックされ、防御フィールドの実有効エリアの情報をもたらす。ここまでアマテラスは突破戦闘をランダルミーデ級に任せ、一発のショックカノンすら放っていない――すべては、この瞬間のために。
 アマテラスの艦尾両舷の超大型コンデンサー、そしてトランス接続するD級の各部に増設された大型コンデンサー群が一斉に発光、その起動を示す。彼女に接続したD級は通常の倍にあたる実に四隻。しかも全艦が主砲塔や艦橋、ウイング類をことごとく撤去し、その跡に大型コンデンサーを増設していた。一発でも被弾すればコンデンサー群が誘爆する危険極まりない状態であったが、そんな彼女をランダルミーデ級姉妹はここまで守り切ったのである。
 そして、アマテラスの戦闘準備が最終段階に入る。波動防壁を展開した彼女の艦首部が青白く発光し、その光は瞬く間に収束、ひと際大きな純白の輝きでアマテラスの艦首部全体を包んだ。
 極大出力で形成された波動ラム――魔の根源を断つ攻城槌と化したアマテラスは機関出力を最大化すると、都市帝国に全速で突進した。そして遂に、ラム先端が都市帝国の防御フィールドに接触する。
 瞬間、アマテラスの艦首に爆発的な閃光が弾け、その光景を凝視する全ての人々の視界からアマテラスの姿がかき消えた。轟沈か――視力を奪われた人々の脳裏に浮かんだ諦観は次の瞬間、覆された。
 激しくスパークするプラズマの豪雨が都市帝国の防御フィールドを明るく照らし出し、その中心に突き立てられた野太い剛槍の姿を鮮やかに映し出した。
 アマテラスはセンシングプローブのように砕け散ってはいなかった。それどころか、絶対的な鉄壁を誇った都市帝国の防御フィールドに穿孔をうがつばかりか、未だじりじりと前進している。過負荷に耐えかねたD級のコンデンサーが幾つか吹き飛ぶ。しかし、それでもアマテラスの前進は止まらない。膨大なエネルギー同士の衝突を物語る激しいプラズマ光を周囲に放ちながらも、彼女の長大な艦首ラムの先端部は防御フィールド内に浸透しつつあった。
 刹那、大量のビーム光がアマテラスの背後から殺到する。だがそれらを、アマテラスの背後に陣取ったアクエリアスが最大出力の波動防壁で全て阻止した。外れ弾となったビームが都市帝国の防御フィールドに命中し、激しく爆ぜる。
 ガトランティス軍も必死だ。BBB群を葬ったカラクルム級の大軍が全速で追いすがり、誤射を全く厭うことなく砲撃を開始したのだ。反転迎撃するランダルミーデ級はヴェム・ハイデルンとデルスガドラが拡散波動砲発射態勢に入り、ランダルミーデとゼイラギオンは前進、通常戦闘で波動砲発射までの時間を稼ぐ。だが、それは罠だった。
 アマテラスの周囲が手薄になった瞬間を見計らい、S0(天頂)方位からイーターⅠが殺到したのである。直前、それを察知したハイデルン波動砲発射を中止し、アマテラスに覆い被さるように彼女の直上へ急速遷移する。直前までの波動砲発射態勢がたたり迎撃は間に合わない。
 主砲塔に、艦橋に、エンジンナセルに――直上から降ってきた二十本を超えるイーターがハイデルンの全身に次々と突き刺さる。だが、彼女の船体は、その名の由来となった軍人の不屈を体現したかのような頑強さで貫通と突破を決して許さない。そして――ヴェム・ハイデルンは永遠に沈黙した。
 エネルギー充填を終えたデルスガドラが拡散波動砲を放つ。その一撃だけで五十隻を超えるカラクルム級が一網打尽にされるが、その効果は十分とは言えない。いかんせん敵の数が多すぎた。
 仕留めきれなかったカラクルム級群から反撃の砲火が集中する。アマテラスはアクエリアスの波動防壁で守られ、ランダルミーデとゼイラギオンは自身の波動防壁でそれをしのぐが、波動砲発射直後のデルスガドラは防壁の被弾経始圧が限界に達し、直撃弾が連続した。
 ランダルミーデが重力子スプレッド弾でデルスガドラの前面に重力フィールドを展開、デルスガドラのダメージコントロールの時間を稼ぐ。しかし次の瞬間、今度はランダルミーデが防壁を射貫され、左の波動砲口を吹き飛ばされた。
 挺身艦隊に限界が近づいていた。アマテラスの船体はじりじりと前進を続けているが、未だその波動砲口を防御フィールド内に押し込めていない。彼女とトランス接続したD級のコンデンサー内のエネルギーも既に残り30%を切っている。しかしアマテラスは最後のチャンスに賭けるべく、波動砲のエネルギーチャージの準備を進めていた。未だ地球人類が一指も触れられていない都市帝国の天守閣――十基の赤色帯が不気味に輝く巨大構造物――に波動砲を直撃させられれば、このバケモノを止められる。そう信じて。
 そんなアマテラスの後方でアクエリアスが大きく舵を切った。全エネルギーを疑似CRSシステムに回し、パワーダウンし始めたアマテラスの波動エンジンを急速賦活させるのだ。既に波動防壁は切っている。防壁の代わりは――彼女の船体そのもの。直撃弾が相次ぐが、アンドロメダ級の強靭な船体は無言でそれに耐える。
 ただならぬ気配を感じたのか、半包囲態勢を取りつつ砲撃を続けていたカラクルム級群に新たな動きが生じた。三十隻ほどずつの六つの集団に分かれ、それぞれが長大な縦深隊形を形成しようとしている。各艦の雷撃ビットを集合させることで威力を飛躍的に増大させる「インフェルノ・カノーネ」だ。直撃を受ければ、波動防壁機能を低下させている四隻のアンドロメダ級など一たまりもなく消し飛ぶのは確実だった。都市帝国の防御フィールドにも害が及ぶが、そこには絶対の自信があるのだろう。
 唯一波動砲を維持したゼイラギオン波動砲発射態勢を取る。度重なる被弾で波動砲重力子スプレッドも失っているランダルミーデとデルスガドラは前進し、ゼイラギオン波動砲発射までの時間を稼ぐ。しかし、二隻とも既に満身創痍であり。まともに機能する兵装は残り少ない。それでも二隻は砲火を集中することで一列分のカラクルム級の隊形を壊乱させることに成功した。集合していた雷撃ビットの赤い環も飛散する。
 しかしインフェルノ・カノーネは未だ五列が健在だった。少なくともその内の一列は、発射寸前だ。
 間に合わん――歯ぎしりするゼイラギオン艦長の視界を黒い“何か”がよぎった。それは発射寸前だったインフェルノ・カノーネの先頭艦を側面からの体当たりで弾き飛ばした。艦長にはそれが何を意味するのか分かっていた。BBB最後の生き残りが喪われたのだ。
 バカ野郎。しかし、ありがとう――。その刹那、エネルギー充填が120%に達したことをオペレーターが告げた。
波動砲、収束スイープモード。ちゃんとデータ取れ。俺たちは生きて帰るんだ。波動砲――撃ぇ!!」
 ゼイラギオンの艦首波動砲口――ダブル・ベクタードマズルが生き物のような滑らかさで稼働し、次の瞬間、そこから蒼白色のエネルギー奔流が放たれた。空間を貫いた収束波動砲ビームは砲口の偏向によって大剣のように振り回され、カラクルム級の長大な縦深隊列を次々に薙ぎ払っていく。元々、より大規模なレギオネル・カノーネを粉砕すべく開発されただけに、それより規模も隻数も遥かに小さいインフェルノ・カノーネを根こそぎにするなど造作もなかった。


 アマテラスとアクエリアスもまた、それぞれの役目を果たそうとしていた。
 ひときわ明るい爆発的な閃光が戦闘宙域を照らし出した。トランス接続艦とアクエリアスによって著しく強化されたアマテラスの波動ラムが、堅固極まりない都市帝国の防御フィールドを遂に貫き通したのだ。
 無数の紅いプラズマ光が何千何万と絡まり合いながら弾け飛び、空間全体に赤光の豪雨となって降り注ぐ。そして――遂に都市帝国のフィールドは消失した。しかし同時に、最後までアマテラスの波動エンジンの賦活に全力を注いだアクエリアスの波動エンジンと疑似CRSシステムが完全にダウンする。全電源を喪失した彼女は、やがてゆっくりと漂流を始めた。
 多くの仲間と姉妹を喪い、自身も満身創痍になりながらも、彼女たちの勝利はもはや目前だった。外装の多くが無残に剥離したアマテラスの艦首が徐々に輝きを増していく。もはやトランス接続したD級は一隻も残っておらず、賦活に賦活を重ねた彼女の波動エンジンも既に耐久性が限界にきている。しかしそれでも、姉妹たちが命懸けで整えたこの千載一遇のチャンスを活かすべく、アマテラスは今にもダウンしそうなる波動エンジンを唸らせ、波動砲エネルギーのチャージを続ける。
 だが、不意に都市帝国の“腹”の中から放たれた巨大な光弾がアマテラスを掠め、後方にいたランダルミーデを直撃した。ここまで被弾を重ねながらも頑強に戦い続けていたランダルミーデがその一撃だけで船体をへし折られる。信じがたいほどの大威力だ。
 都市帝国の腹の中――プラネットキャプチャーの陰から巨大な影が悠然と姿を現した。全長1キロメートルを超える超巨大空母――アポカリクス級航宙母艦が二隻。その船体は、まだ生成が完了したばかりであることを示す漆黒に彩られている。
 一隻のアポカリクス級の艦首が閃光を発し、再び巨大な光弾が放たれた。
 光弾はアマテラスに向かって真っすぐ延伸するが、転舵急進したデルスガドラが射線に飛び込んでそれを阻止する。しかしその代償として直撃を受けた彼女はバラバラに砕け散った。
 アポカリクス級の艦首砲はキロメートル級の小惑星すら粉砕可能な威力を持つ。波動砲デスラー砲を除けば最大規模の艦砲であり、火焔直撃砲すら上回る。たとえアンドロメダ級が波動防壁を全力展開していたとしても轟沈を免れない。
 そんな巨大砲を二門も有する漆黒のアポカリクスが交互射撃の要領で早くも次弾を放った。しかも二隻同時に。
 二発の巨大な光弾が虚空を切り裂き、アマテラスに殺到する。彼女の波動砲発射までのカウントダウンは、未だ二十秒を残していた――。



 アンドロメダ級後期建造艦群を総動員した作戦は最終段階で惜しくも潰えた。作戦参加艦艇の中で生還できたのはランダルミーデ級四番艦ゼイラギオンただ一隻。彼女を除く五十余隻は悉く喪われた。
 本作戦は「失敗」として評されることが多いが、それに異を唱える者も少なくない。元宇宙戦艦ヤマト副長/現戦闘空母ヒュウガ艦長を務める真田志郎二等宙佐は、記録映画「宇宙戦艦ヤマトという時代」のインタビューの中でこのように述べている。

「確かに作戦目的を達成できなかったという点で、アマテラス以下の第二挺身艦隊の作戦は失敗したと言えるでしょう。しかし、艦隊が都市帝国の防御フィールドを破壊したことで、白色彗星が進撃を一時停止したことは、後のことを考えると非常に大きな意味を持っていました」

 この発言シーンは、公開当時の映画本編ではカットされたものの、後に公開されたディレクターズカット版で初めて盛り込まれた。
 真田二佐が語ったとおり、本作戦後に白色彗星は進撃を一時停止していた。アンドロメダによる重力源の破壊に続き、アマテラスによって防御フィールドを突破されたことは、ガトランティス帝国にとっても衝撃は大きかったらしく、防御フィールドが機能を完全に復元するまで白色彗星は前進を控えたのである。
 そしてこの時、地球防衛軍が発動していたもう一つの作戦――宇宙戦艦ヤマトによるトランジット波動砲攻撃作戦は思わぬ躓きと遅れをみせていた。銀河から部品を譲り受け、緊急修理と改装を完了させたヤマトであったが、その前にアベルト・デスラーガミラス総統が立ちふさがったからだ。
 最終的にデスラー前総統は矛を収めて撤退し、更にトランジット波動砲発射時の膨大な輻射熱からヤマトを守るために御座艦――ノイ・デウスーラが提供されたものの、タイムテーブル上、ここでの作戦遅延は致命的の筈だった。事実、ヤマトが地球沖にワープアウトした時点で、ガトランティス帝国は地球連邦に全面降伏勧告を行っており、ヤマトの到着があと僅かでも遅れていれば連邦政府は降伏を受諾するか、勧告を拒否あるいは黙殺した結果として国土と市民を徹底的に殲滅されていた可能性が極めて高い。
 つまり、アンドロメダ級後期建造艦群による作戦で白色彗星の足止めが叶わなかった場合、ヤマトは決定的瞬間に間に合わず、更には滅びの方舟を消滅させることもできなかったと考えられるのである。
 その点では、アンドロメダ級後期建造艦群と彼女たちの奮戦もまた「大いなる和」を構成する一部であり、決して欠くことのできない存在だったと言えるだろう。





久しぶりの設定妄想をようやく公開することができました。
様々な事情から活躍の場面を与えられることがなかった艦たちの魅力が少しでも伝われば幸いです。
都市帝国の防御フィールドは三重くらいあるんじゃない?とか、そもそもいくら強化したと言っても単艦の波動防壁でそれを突破できるんか?とか、そういつ鋭いツッコミはどうかご容赦下さい(笑)
画像のランダルミーデ級は初代組さんの1/1000ガレージキット、アマテラスは八八艦隊さんのMMDイラストをお借りしました。
この場を借りて御礼申し上げます。

「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の地球-ガミラス関係



皆さま、ご無沙汰です。
昨年は公私両面で大きな変化があり、すっかりブログから遠ざかってしまいましたが、新年を迎えての心機一転ということで久しぶりに記事を公開したいと思います。

テーマはもちろん「ヤマトよ永遠に REBEL3199」です。
年明け早々に予告編と共に第一章「黒の侵略」上映開始日(2024年7月19日)が公表されました。
今日はこの予告編とヤマトマガジンVol.17、公式HPの情報を基に、3199での地球とガミラスの関係性について少し想像してみようと思います。
なお、いつものことながら正式公開前に変な予断を持ちたくないという方はご遠慮願います。

では、まずは今のところ明らかになっている状況から整理したいと思います(前作2205のラスト及び予告編映像からの“印象”も含みます)。

1)ガミラスは人口の7割(本星のみ?全ガミラス人)を喪ったものの、ガルマン星を解放済。その過程でボラー連邦と交戦開始(2205)
2)地球では「ガミラスの戦争に巻き込まれる」という懸念の声が大きくなっている(2205)
3)月面に「第三バレラス」なる新都市が建設中(ヤマトマガジン)
4)地球では「DAD(Defence Against Dezariam)」という呼称で対デザリアム防衛戦略が非公式に立案・実行されている(ヤマトマガジン)
5)グランドリバースをボラー連邦艦艇が砲撃している(予告編)
6)太陽系内で地球艦隊(①アルデバラン・戦闘空母・D級 ②無人艦隊)がグランドリバースを迎撃している(予告編とHP)
7)地球の首都が制圧される(HP)

まずはこんなところでしょうか。
実のところこれらの情報の中で一番意外だったのは、3)の第三バレラスでした。
2205内でも描写されていたとおり、「戦争に巻き込まれる」ことを懸念する地球側の民意を受けてガミラスとの関係性は少なからず冷却化し、それが安保条約にも影響してくると予想していましたので。
本星を喪った大ガミラス帝星はガルマン星へと移り、更にガルマン民族と一体化することで国号も変更されることにもなるでしょうから、それらを契機に「地球・ガミラス安全保障条約」の見直しや改定(最悪は解消という名の実質的破棄)が図られることもありそうな気がしていました。
しかし実際には「第三バレラス」なるかつての帝都の名を冠した新都市が月面に建設中となると、状況はそんなに単純ではなさそうです。



ではここで、もう少し両国の状況をそれぞれ整理したいと思います(想像を含みます)。
【地球】
(1) 「ボラー連邦との戦争には巻き込まれたくない」という民意が無視できないくらい存在する。
(2) 軍事力は人員・練度不足により十分ではない。
(3) 対外的には平和主義を標榜することで安全保障を担保したい。
(4) デザリアムを認知すると共に明確な脅威と認識している(2205以降にも何かあったらしい)。

ガミラス
(1) ガルマン星の防衛が最優先(この星を失うとガミラス人は長生きできない)。
(2) デザリアムに対する復仇の念は強い(そりゃそうだ)。
(3) ガルマン星への移住推進、対ボラー戦争、デザリアム調査等が重なり戦力は不足気味(とにかくやることが多い)
(4) 戦略的縦深に乏しく、安全且つ安定した後背地が欲しい。

こんな感じでしょうか。ガミラスの(4)は完全な想像ですが、2205でいきなり首都星を直撃されたこと(デザの目的がイスカンダル狙いだったとはいえ)、ガルマン星を解放したばかりでガルマン星を中心とした領域はまだそれほど広大ではないだろうという予測が成り立つなら、それほど大それた想像ではないと思います。
そんな状況の中で、ガミラスにとって太陽系に設置された「第三バレラス」は④を完全ではないにせよ、ある程度以上満たしてくれる存在足り得ます――が、「安全」という面ではそう単純ではありません。ガミラスと地球は安保条約を締結しているからです。
事実、本安保条約はガトランティス戦役においては軍事同盟として完璧に機能しました。
つまり、ガミラスを敵国と認定した国家にとって、ガミラスと軍事同盟を結ぶ地球も自動的に敵国と見なし得る――それが外交的な常識です。
ただ、“実際に”そう見なすかは個別の事情によるというのが外交関係の面白いところで、見なす側が「敵を増やしたくない」と考えるならば、紛争地域の限定を宣言するなどして、あえて「敵と“見なさない”」という判断を行う場合もあります。
また逆に、ある国に戦争を吹っ掛けるために、その国の同盟国と先に開戦することで、戦争を吹っ掛けたかった国への開戦理由を間接的且つ無理やり作り出すなんて方法をとる国もあります(いわゆる「裏口からの参戦」というやつですね)。
では、これをデザリアムとボラー連邦それぞれに当てはめるとどうなるでしょう。
デザリアムについては、ガミラスと地球の双方が既にデザリアムと直接交戦しているため、デザリアムはガミラスも地球も等しく「敵国」と認識していると考えるのが自然でしょう。
ですが、ボラー連邦は2205の時点では地球と直接交戦した訳でありません。
また、地球市民には「ガミラスの戦争に巻きまれたくない」という市民感情が根強く存在します。
それらを考え合わせると、地球が安保条約を解消の上、ガルマン独立戦争ガミラス/ボラー戦争)に対して局外中立を宣言するという外交政策を採る可能性もあるんじゃないかと思いました。
同盟関係の解消(破棄)というと少し言葉の刺激は強いですが、それはイコール二国間の関係性の悪化を意味するのではありません。
同盟関係の解消によって両国がそれぞれに少なからずメリットを享受できる場合、それは発展的解消足り得るからです。



まず、地球にとってはガミラスの対ボラー戦争に「巻き込まれる」リスクを軽減できます。
また、いくら人員・練度不足に頭を悩ましているとはいえ、地球は波動砲搭載艦を複数を擁し、ガトランティスのようなチート級敵国でもなければ独力で対応できるくらいの最低限度の軍事力は既に有しています。
更に、同盟相手のガミラスは2205以降、自国の事で一杯一杯で、もし地球に何かあってもガトランティス戦役時のような大規模援軍はあまり期待できなさそうです。
乱暴に言ってしまえば、「助けてもらえるメリット」よりも「巻き込まれるリスク」の方が高く見えてしまいそうな状況です。
もちろんそれはあくまで物事の一面に過ぎず、別の見方もできるのですが、そう見てしまう、そう見てしまう人が多く存在するだろうという意味です。

では、もう一方のガミラス側のメリットはどうでしょうか?
ガミラスにとって、少なくともボラー連邦に対しては安全な後背地を確保できますし(ボラーが地球の中立化を認めてくれるかという懸念はありますが)、太陽系に駐留している在地ガ軍の戦力を対ボラー戦争やデザリアム探索任務に投入できます。
はっきり言って、地球が再建した波動砲艦隊を押し立てて全面的に対ボラー戦争に参入でもしてくれない限り、マゼラン銀河から天の川銀河へ本拠地を移したガミラスにとって地球との同盟関係は直接的な軍事力の強化にはそれほどつながりません(後方支援を含む間接的なものは全く別ですが)。
もちろん、ガトランティス戦役でガミラスが見せた太陽系への直接的な軍事力展開を考えれば、今度は逆に地球に対してそれと同等以上の直接的軍事行動を求めるガミラス側の声も決して小さくないと思いますが、それをあまりに無理押しした場合、地球が市民感情レベルから本格的に離反する可能性があり、その点を外交的バランス感覚に長けたローレン・バレルが看過するとは思えません。

それら諸々を考え合わせると、3199冒頭では以下のような状況になっているんじゃないかと想像します。

・地球はガミラスとの安保条約解消と、ガミラスの対ボラー戦争への局外中立を宣言。
・その一方で、「人道的措置」としてガミラス難民の受け入れと、月面にガミラシアタウン「第三バレラス」の建設を開始。
・安保条約解消に伴い、在地ガ軍(ガミラス軍事力)が太陽系から撤退。
・デザリアム軍による太陽系への奇襲侵攻開始。
・地球軍は独力でデザリアム軍を迎撃するも失敗。デザリアム軍地球制圧完了。
・ボラー連邦軍の対ガミラス攻勢強化。更に第三バレラスのガミラス人(ガルマン人)が実質的な人質になっていることもあり、デザリアムの地球侵攻に対してガミラス軍は即応できず。

こんな感じでしょうか。
実はこの想像、「デザリアムの地球侵攻時、太陽系内にガ軍がいない(地球のみで迎撃)」という私の個人的願望から逆算して書いたのですが、安保解消(破棄)はさすがに想像が過ぎるかもしれません。
そもそも、太陽系内にガ軍がいないという願望すらオリジナル版「永遠に」の展開をのぞって欲しいという単純な動機と、ガミラスの地球に対する軍事的コミットがガトランティス戦役時と同等だと、後の地球奪還がガミラス軍主体になってしまって、それはそれであまり楽しくないな・・・・・・というところから来ています。

あるいは、地ガの同盟関係(安保条約)が防守的なものとして定義されているのならば、地球が中立を表明するために条約破棄までは必要ないかもしれません。
具体的には、同盟国の参戦義務が防衛戦争においてのみ負うものと定義されているような場合です。
ガトランティス戦役でのガ軍参戦は、地球がガトランティスからの侵攻を“受けて立つ”形だったが故に発動したものの、ガミラスの対ボラー戦争は「解放」という体裁を取りつつも、国際政治的にはガミラスがボラーへ戦争を吹っ掛けたものと解されるので、地球に参戦義務は生じない――といった感じでしょうか。
この場合、地球は日露戦争時の英国のような形で同盟関係と中立の両方を維持することができますし、中立を内外に対して納得させるために在地ガ軍の撤退させることもできます・・・・・・が、こうした二国間状況を劇中で説明しても非常に分かりにくいと思うんですよね。
それなら、同盟解消という分かりやすい形で話が進むんじゃないかという予想から、上のような想像を書いた次第です。

しかししかし、更にもっと状況を単純化するなら、安保条約はそのまま、地球は中立宣言などもせず、単純に戦力不足に悩むガミラスが自ら在地ガ軍を撤退させるとしても、デザリアム侵攻時の太陽系内状況はあまり変わりませんね(笑)
むしろ、ボラー連邦が地球の中立宣言を認めるのかとか、そのあたりの穴が存在しなくなる分、その方が実際的かも( ̄▽ ̄;)
この場合、第三バレラスは単なるガミラス人街みたいなものになる訳ですが、それならばガミラス領域内にも地球人街みたいなものがあってもいいかもしれませんね(第二メガロポリス?w)
もしそうした状況なら、常駐か派遣かはともかく地球艦艇がガミラス域内に存在していることも自然にありそうなので、それらの艦艇が地球が制圧されて以降にヤマトに合流する――なんて展開も想像できて楽しいです。



それにしても・・・・・・「第三バレラス」という名称を考えた人物は相当肝が据わっていますね。
何しろ「第二バレラス」がアレでしたから。
誰が総統にその名称を上申したのか、個人的には非常に興味があるところです(笑)

何やらダラダラとまとまりに欠ける文章となってしまいましたが、リハビリ半分ということ、更に地球・ガミラスそれぞれの状況を復習できたということで、今日のところはこの辺りでどうかご勘弁下さい(笑)